01Blog / 起業を勧めることができない理由

2016.05.28

起業する人が増えていけば良いと思います。その一方で失敗する人も多数います。失敗自体は問題は無いのですが、資本政策など一部、不可逆な部分や、考え方そのものが間違っていると、失敗しても改善が見られないケースがあります。

そもそも大きなビジネスは才能と運が必要となる

起業でもスケール型で非常に大きな会社を創るケースは、プロ野球の選手になるようなものでもあると思います。プロ野球の選手と違うのは個人の成績は出ないので、組んだチームが良ければ・運が良ければ勝ってしまうケースがあります。このため、必ずしも個人の力(才覚)だけに頼らない部分があるのがあります。

では「自分にはそんな才能は無い」かというと、これがわからないのです。

もう一つ異なるのが、若く無い方(中高年の方)が勝率が高いということです。これは、ちょっといわゆる常識と異なるかも知れません。

少なくともチャンスは平等かも知れませんが、才能と運が支配する世界であると思えます

常識というものが異なる

これは2つの面で問題となります。その一つがそもそもの常識が会社や過去に多分、習ってきたであろう世界と異なるということです。もう一つの面は、大きなビジネスがその時点では非常識であるということです。こうなると「常識では」という言葉そのもの(≒ 多くの場合アイデンティティ)を変更するのでかなりの部分で心の葛藤と戦わないとなりません。個人的には・・

いきなり起業をせずに、誰かの創業にジョインすることをお勧めします

ある程度大きくなったベンチャー企業(またはスタートアップ)に入ってもそこまで大きく老舗企業と異なるか?と言われると、違いますが、私の思うところ(違いますが、根本的に常識が異なる)のゼロイチの部分を味わうのは難しいかと思えます。なので創業に近いところがいいですね。

周りに経験者が非常に少ないことと成功事例に学べないこと

これは残念ながら日本では大きなビジネスを創った人(スタートアップの経験者)が非常に少ないですね。東京に一部、他にもいるとは思いますし、実際にいますが、コミュニティ化されているか?といわれると、東京の一部+αぐらいかな?と思えます。地域にもいるんですが、主流ではないので他への影響を及ぼすほどではないかと思えます。もう一つ、様々な成功者の話を聞く場合には「リテラシー」が必要で、起業家の場合「主張」をしているわけで、何をこの起業家は伝えたいのか?という視点で聞く必要があります。学べることと学べないことを割り振る必要があります。

成功者の話を鵜呑みにしてしまって失敗しているケースは見ていて実に多いです

このロールモデルの少なさはネガティブポイントですね。つまり、およその周りのアドバイスが逆方向かもしれないのです。

起業する理由はそんなにドラマチックなのか

失敗する人の14の共通点というブログがあります。私は良い悪い(絶対正義・悪)というのは無いと思ってまして、例えば、目標を達成するために正しい方法という考え方をします。起業する理由が起業がしたかった、勝ちたかった、お金が欲しかった、などはなんでも良いかと思えます。問題は、何かドラマチックな起業理由があるかと言うと、私であれば

他に行くところが無かった

が、正解です。「いやー、ジョージさんでは能力が高すぎて」とか、単に要らないんだろう〜というような内容でVCやらインキュベーション系の就職は色々断られるし、普通の会社では半年も持たない(買収後半年しか持たなかった)のでは、起業以外の道がないのです。

起業だったら、毎日俺はやってる!と言わないとならんし、色々イジメられるし、あれやこれやトラブルは起こるし、バッファーが無いので全てに真剣勝負だし、持てる手を全部試すし、多数の業務を一気にやるので、そもそも頭の切り替えが遅いのに、それをうーんといって切り替えないとならないのに、、と楽しいですが、それなりに大変ですよね。

起業自体は手段であり、目的ではないと思います

そういう中で、起業を経験したいというモチベーションもあり得るだろうと。ただ、会社を辞めたいから起業というのはどうかなー?と思います。会社で結構活躍するようなタイプ(主流は外れているとしても)が結構勝っている気がしますし、目的が違う方向に行ってしまっているのは、ネガティブ要因だと思います。

考え方とチーム、そして多くの起業は初回は失敗する

残念ながら、起業も初回は失敗する場合が殆どだと思います。冒頭にも書きましたが、失敗は問題ない。失敗を過程と捉えれば、最初から失敗しない方が後で問題になります(最初勝ってしまうと、大抵が架空の勝ちであり後で方向修正が難しくなる)。問題は資本政策やチームアップなどの不可逆なものでミスをしてしまい、最終的な失敗をしてしまうことですね。過程での失敗は全然問題ないのです。共同創業者は本当に難しいです。

考え方が間違っているケースはこれはキツイ。後は、本当に人によっては更生しない。確かに、初度赤字は仕方がないですし、今は狂ったアイデアは確かに評価できない。なので、周りも必ずそれがダメだとは言いがたいものがあります。強いていえば、

アウトプットを見て結果が全然出ないのであれば考え方は間違っていると思うべきではないか

こだわり、プライド、思い込み、これらに囚われてしまうと、ちょっと変更は難しいです。

リスクを取り過ぎ

家族、子どもを含め、やりたいときはやるというのは男前だとは思いますが、ある程度、リスク回避はした方がいいのではないかなー?と思います。「いつかは」とやるとその時は確かに永遠に来ないかも知れません。しかし、今直ぐ会社を辞めていきなり異文化に飛び込まなくてもできることはあるのではないでしょうか。小さく始めれば良いし、人的ネットワークの確保をはじめ、様々な準備は進められるはずです。

多くの人が「いつかは」といって動かないか、あまりにも向こう見ずに飛び出す

これはどうかなー?っと。その中間ぐらいにならないかと思います。

過去の手痛い失敗経験と本質を見抜く力と行動力

勝てる「チーム」は「チーム」としての行動力が必要です。過去に勝った会社を今振り返ってみると物凄い行動力があります。個人としてというよりはチームとしての行動力です。こちらの起業の世界で思うのは・・・

言ったことを実際に行う人は物凄く少ない

ということです。つまり、行動力のあるチーム(人)と行動しないチーム(人)の差が起業の世界では物凄くでます。これは客観的に、冷静に、いわゆるKPIを比較してみるとよく分かります。特に、起業の場合は会社ほど人間関係を気にしないので、その場は良いことを言われることも多いので、

行動するかしないかでしか相手を測れない部分があります

もう一つは結局は過去の手痛い失敗経験と本質を見抜く力なのかなー?っと思います。失敗経験は自分が間違っているかも知れない?というトラウマを与えてくれます。これはきっとポジティブに働きます。もう一つは、それを本質的に「事業を成功させる上で何が必要だったのか・足りなかったのか・何をすればよいのか」を見極められる力かと思います。我々は多かれ少なかれ考え方がシフトしており「正しい」と思われることもシフトします。

不易流行

「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」

つまり、時代が変わっても変わらない本質的な基礎的な事を知ることと同時に、新しい物を取り入れないとイノベーションは興せないということだと思います。

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