ドイツDusseldorf開催の「日本デー」で感じたこと

2017.05.23

ドイツのDusseldorfで開催された日本デーの(ドイツ語の記事)経済シンポジウムに参加させて頂きました。ドイツ・ノルトラン・ヴェストファーレン州関係者の方々、Dusseldolf市の方々、日本の領事館の方々、商工会議所の方々を始めとした沢山の方々に今回お招き頂きましたことを深く感謝します。両国は違いはあるものの、製造業が強く、2つの問題に直面していると思います。一つは「イノベーション」もう一つは「デジタル化」です。それぞれの国(ここではNRW州の状況)の状況は似通っている部分と違う部分があり、とても参考になりました。あくまで一般論ですが、

  • 概念論を創るのが得意なドイツと創り込みが得意な日本
  • 組織行動に強いドイツと個々が強い傾向の日本
  • 組織を超えた連携が比較的得意なドイツと組織感ギャップのある日本
  • 産業構造的にドイツではHidden Championに代表される家族経営型の日本では大手に分類されるような企業群と大手企業、日本は大手企業と中小・スタートアップ

などの違いがあり、ドイツから学べる点が多々あります。

一方で、イノベーションを起こしにくい・デジタル化への対応に関して(「イノベーションのジレンマ」の大誤解)課題があるイメージです。もちろん、あくまで私の知っているのはドイツの一側面であり(日本に関しても毎日のように新しい発見があるので)、現時点での考えになります。

ここでは、会の模様を簡単にまとめておきます。まずは開会および挨拶として、州関係の方、日本の領事館の方、商工会議所の方のご挨拶がありました(下写真はDusseldolfのガイゼル市長、非常に起業家マインドを持っていらしゃる方のようです。ドイツでは大手企業トップもスタートアップ支援や連携に非常に熱心な方が多いとのこと)。

次がHigh-techファンドのブラントカンプさんからスタートアップや企業連携に関してのお話がありました。一つ思ったのは、日本もドイツも概念的には課題は似ていると思えるのです。当然、失敗は恐れるでしょうし、起業が極めて盛んな国と比較すると失敗を恐れて両国とも保守的な部分があり、様々な大型の企業がデジタル化やイノベーションの文脈と市場のスピードが高速化したことの関係で、起業やスタートアップを真剣に考え、協業する事が求められているということです(実際にスピンオフ・スピンアウト型の起業は増えている:日本の未来がここに?ドイツのデュッセルドルフのスタートアップとアクセラレーター)。

DusseldorfでdigiHubを運営するガイダさんと共に講演とパネルディスカッションをさせて頂きました。日独の違いが分かって面白かったです。

日本もドイツも一長一短ですが(Equity型のスタートアップという意味ではベルリンはまた状況が異なるでしょうが)、イノベーションの面でみると産学やスタートアップと大手企業の「チームアップ」("真のチーム”がないから、日本は勝てない)という観点ではドイツから学ぶ事は多いように思えました。

さて、その後は実施例の発表がありました。ちなみに、ドイツの中堅企業はものにもよるでしょうが、下写真のようにかなり大型のものもあります。

ここで、この鉄鋼会社をスピンオフ型のスタートアップでデジタル化する話が出てきます。課題はイノベーションのジレンマで出てくるように一般的なものです(小組織に切り分けて出島化する)。この点は、世界的にそうなんだろうなぁと思います。

もう一枚。イノベーション型(ここでは鉄鋼産業のデジタル化)を大組織で実施するのは難しいのでという文脈です。

ちなみに、日本のWacomさんの話もありましたが、Inkathonというのを世界中でやってます。日本にもいろんな会社がありますね。

最後は実施例の方々でパネルディスカッションです。イノベーションの起業やスタートアップ(個人的には大手企業周辺でのB2B型イントラプレナーのスピンオフ・スピンアウト化が多分、両国とも肝)への移行と企業側との連携をどうするか?という点が議論されました。

今回は本当にありがとうございます。両国の関係者の方々に深く感謝します。微力ながら日独の連携に尽力いたします。


・・・