ロックスターの裏側で

2018.09.12

起業が増える社会

挑戦者たちの隠れた苦悩」という記事が話題になっておりますね。とても勉強になります。先日、UKの教授と話していたら

ロンドンでは起業家はロックスターだ

とおっしゃってました。日本に限らず、全員ではありませんが、世界的に本来はかなりの高学歴で企業にいるような方も起業に向かっている流れは変わらないようです。多分、世界の状況(お金あまり・起業のし易さ・経済刺激策などなど)から、バブルであると同時に、それが仮に弾けたとしても、今後もこの流れはブームというよりは産業構造の大きな変化(世界は低欲望社会化し、日本は美しい衰退に向かう)の上で減らないと思えます。

様々な起業のカタチ

もちろん、大きな起業(スタートアップ)ではなく、個人事業主も含め形は問わず(これは個人の趣向なので)、雇用されていない状態、または小規模な会社での状態が増えると思うのです。この状況は北欧などでは始まっていそうです。

新規事業も飛び地ものはなかなか社内では難しい。そうなると、ベンチャー企業でとなることも増えると思います。但し、会社同士の壁がもっと薄い世界です。イノベーティブであればあるほど小さい組織で大きな組織と別離した状態であり、個人は動く(起業であろうがチームであるかは問わず)世界です。例えば、

  1. 既存市場の深掘り(新商品開発等)
  2. 滲み出し領域(国際展開・類似カテゴリーへの進出)
  3. 飛び地型事業
  4. 飛び地型事業で特に会社の次の主軸となるような事業

・・とある中で、1と2は社内でもOKでしょう。少しづつ2も、3あたりから社内では困難になり(できないわけではないですが、極めて困難になる可能性が高い)、4でベンチャー企業でとなる可能性が高い(3もその可能性が高い)となると思えます。

今更の繰り返しにはなりますが、特に中国などは物凄く早いです(規模の点でも日本で10年かかることを1年で経験できるそもそものスピード感、10倍で進むイメージ)。場合にもよりますが(完全にローカルで展開しているケースは当てはまらないこともあるでしょう)このスピードと対峙(同期でもいいです)して行く世界は今までとは全く違ったものとなるでしょう。

起業・起業チームと向き合う世界

そのような世界の中では、起業や起業チームで働くことが、選択肢(チョイス)ではなく、場合によりマストになることも想定されます。一般的なオペレーションは効率化された大きな組織が得意でしょうが(そういう意味では組織としてのM&AやJVは盛んになる)、不確定要素の多い世界は小さな組織が得意なのは古今東西過去からそうでしょう。もちろん、大きな組織は何も社内で新規事業を行わないというのではなく、小さな組織への出向も含めて「カタリスト人材(M&Aをより効果的にする人材)」を創るという方向にシフトしていくと思えるのです。あるいは自分が主軸になるときは自分で起業するか、あるいは、起業チームに入る。大組織は人材さえ流動すればこれを受け入れる。英米系はこういうシステムが多いですね。

そうなった場合、最初に戻りますが、イノベーションを行いたい人間は今までとは全く異なる起業家としての苦悩が始まる(起業という選択肢を取るという形ではなく、究極にはイノベーションはそれしか選択肢がない世界)と思います。企業内で新規事業を行う上での苦悩と起業での苦悩はどっちが上か下かというのではなく、種類が違うと思います。

そのときに話せる仲間を創っておくのが良いかとは思えます。ロックスターはあくまで一部であり、誰もがロックスターになれるわけではありませんし、誰もが目指す必要もありません。そして人生は続きますので。

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