不況は起業の好機なのか?

2019.01.11

おおよそ老舗の投資家の人と話して聞くのは「不況のときに投資した案件が大きく化ける」ということです

そこで次に出てくる言葉は「不況はチャンスだ」となるのでしょうし、不況のときこそ本質的なスタートアップが残るので「不況こそ投資のタイミングだ」と。かつ「不況こそ起業のチャンスだ」と。

・・・・・。

但し、実際にはそうはなかなかいかないですよね。これは実際には不況で成功した側にはそうですが、多くの場合は悪い方向にいくのでしょう。では、何を考えたらいいのか?ですね。

どの時点で景気悪化が起こるか?

世界経済に「暗雲」 世銀、今年の経済見通しで警告」にまとまってますが、ここ5年のどこかで起こるのでしょう。2019年の中間という意見もあれば、そうではないという意見も。問題は確実に起こるということでしょう。

不況は起業のチャンスなのか?

私は2000年ごろに製造メーカにいたのでいわゆる大リストラを経験しました。今もその頃のことを鮮明に思い出します。まるで夢を見ているようでした。駅で競合との部門の合併切り離しの新聞発表を見て、これはどういうこと?と自部門に電話を同じ部門の人がしていました。早期退職者の分厚い挨拶書類。

2018年にも色々おきましたが、不況に関わらず、構造転換のある例えば、自動車系を中心に海外では大幅なリストラが行われております。私が2000年に思ったのは「落ちることを想定しておこう」ということですが、なかなか当時の幹部は目の前のことだけで考えられなかったのかもしれません。これは正直自分も立場的にはよくわかります。

それを想定して動いていたのか、動いていなかったのかの差が出る

さて、リーマンショックの2008年にPaul Grahumが「Why to Start a Startup in Bad Economy」を書いております。MicrosoftもAppleも不況の真っ只中に創業されたと。これは良く引き合いに出されますね。不況時はコストが安い、競争がゆるいなど。「不況の今こそ起業せよ!」は2009年ごろの記事ですが「大手企業が人員を削減し、アウトソーシングを行う」ということで中小ビジネスが勃興したこと(かなりの雇用を産んだ)が書いてあります。好景気も不景気も「変化」がありますので、何かの商機には確かになるのでしょう。

2018年初頭の記事ですがニトリの会長の記事が2019年初頭のことを良く表している!と話題になっております。不景気でニトリもユニクロも大きく業績を伸ばしたようですが、これは単に低価格化したわけではないですね。先の記事にもサウスウエストのことが書いておりますが、競合に対抗して値下げしたのではありません。競合を避けたと書いてあります。

不況期には新しい事業が生まれる

Paul Grahumさんの記事の文末に下記の記載があります。

行動するのは常に今だ

一方で心の持ちようは

では、不況は良いか?というとそうではないのが心情でしょう。では、何か。ここは原点に戻って松下幸之助さんや稲森和夫さんのような名経営者のお言葉を拝読しましょう。先のPaul Grahumさんもそうですが、書いてあることは不思議と似てますね。ということは多くの人は逆の行動を取るのでしょう。

落ち着いて目線を変えること(好機と捉えろ)、周りよりも自社に向かい合え、チームの人間関係を整えよ、内省せよ、本質的な事業の発見になる、などなど。

どれも一見当たり前にみえますが、実際には難しいのでしょう。このときこそ「Who am I」いえ「Who WE are」が重要になるのでしょう。我々は何者なのか。Paul GrahumさんのBlogにこうあります。我々も来る不況に向けて色々想いを巡らせましょう。また、不況のときこそ、競合・競争という概念を忘れるときです。

低価格戦略は良いかもしれませんが、価格を単純に下げることがよいわけではなく、寧ろ本質的にして、上げろと松下幸之助さんのお言葉にあります。

我々は何を提供しているのか?そしてそれは世界をどう良くするのか?原点に戻るときです。

ニュースをみるのではなく、鏡をみよ(周りに流されず、自分達の事業を内省せよ)

・・・