【01Blog】大企業からStartupで学んだこと(7)「差別化とイノベーションという罠」

2013.12.02

このサービス(製品)は技術的にどこが差別化か?優れているのか? 企業に務めていてもメーカだったりでは必ずこんな会話になるであろう。特に日本のお客さんを相手にしていると、例えば、この掃除機の性能がここが優れていて・・ この製品は特性が・・機能が、といったことは日常茶飯事である。イノベーションという言葉も皆大好きだろう。「イノベーション」が必要だ! でも、本当にそうだろうか? 私も元々メーカの研究所に居たりしたので、頭の中には「イノベーション」「技術革新」「差別化」というのが当たり前のようにある。スマートフォンの広告サービスを始めたStartup企業にてビジネスプランコンテストでこんな会話があった。 発表者(A) 発表者:「この技術はここに差別化がありまして〜」 司会者:「おーすごいですね!」 当時のIT Startup 司会者:「あなたのサービスの優位性は?」 発表者:「えーっと、開発者の人とBBQ行ったりー、呑みに行ったりー。」 司会者:「・・・、なるほど、しかし他のサービスに比べて、金の匂いはしそうですね・・・」 コンテストでVCさんとの会話・・・ VC:「技術的優位性は?」「性別とかそんなので色々広告の出し先を変えられるとか?」 発表者:「いや、そういうのではなく、開発者との人間構築・・」 VC:「へ?なんもないの、単なる配信か〜」 私は、VCさんも司会者の人のコメントももっともだと思った。差別化、技術が必要だ! でも、本当にそうだったのだろうか? エマージングな市場であれば、広告に関しては、スマホの画面の一角を押さえる不動産ビジネスに似ている。できるだけ先にパブリッシャー(アプリの提供者)を押さえてしまって、「土地」を手に入れる。後は勝手にスマホは伸びるわけであるからその「土地」の値段が上がるのである。では、その土地をどう押さえるか?というと、導入期は「人間関係」である。いかに開発者と仲良くなって「土地」を頂くか。技術的な差別化ではなかったのである。なので、当時のCEOは本質を捉えていたことになる。 もちろん、VCさんにしろ差別化やイノベーションを求める気持ちは分かる。一方、勃興する途上国のような市場にはそこまですごい差別化やイノベーションは不要な場合も多い。ベタな営業が重要なことの方が多そうである。技術の差別化が重要である市場もあるであろう。また、日本人はとかく(最近は特に停滞市場を相手にしている人が多いので)この差別化やイノベーションの罠にハマっているかも知れない。 そもそも、その市場で勝つためには何をしたら良いのか? この本質を見抜く嗅覚が必要だ。これがまさにCEOの筋肉なのである。

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