【01Blog】大企業の新規事業プロセスを考える(2)「最初に何を考えるべきか」

2014.01.31

大企業の新規事業のプロセスを考える場合、一般的にMBAで習うような手法も使えますが、大企業や中小企業がベンチャー企業での新規事業と異なる部分は、内部リソースをどうしても使わざるをえないというところかと思います。 基本的には、元々は日本も外部リソース(大学の研究とか、米国から技術をもらうとか、その他も含め)をベースに新規事業を発展させて来たと思っております。 一般論としては、大きくは3つの軸が必要かと。
  1. 社内の事業にシナジーがあるのか
  2. 市場が魅力的なのか
  3. 十分な規模があるのか
特に、1. に関しては企業が新規事業を興せないので、いっそのことなんでもやりたいことを!と、実事業との整合性を無視して進める傾向が見える場合がありますが、それであれば別に起業したり、別会社でやるべきでしょう。 但し、大企業の場合は新規事業を考える人の立場にもよるでしょうが、下記の3つの軸がもっと必要だと思います。
  1. そもそも自分たちの企業の体質が新規事業向きなのか
  2. 社内のステークホルダー(関係者)の琴線はなんなのか
  3. 社外リソースをいかに使うか
受託的な会社に新規事業を興すのは個々人はできるかも知れませんが、会社全体の仕組みとしては難しい。よほどの人事異動なのか評価システムを変える必要がある。日本人の真面目さに頼るのも限界があると思います。2.は特に担当者としては重要ですね。そして、正直、社内リソースで改善型の新規事業を行うのは可能でしょうが、先に述べた理由でよほど人事制度や社内の仕組みが新規事業に対応した会社ではない限りは自社で新規事業を興すのは今の時代は無理があると思います。世界に日本しか無い、あるいは自社しかいないのであればそれも良いでしょうが、いずれにしろ、日本市場だけを見ていたら淘汰されるでしょうし、アジアや欧米の強い企業のスピードは尋常ではありません。5億の金型を10個買うのを計画なしで決めてしまえる国が沢山日本の西側にあるのです。これに現状の社内システムで勝つのはほぼ不可能です。ベンチャー企業、あるいは別の産業と組んでいかに規模を大きく早くしていくか。日本企業には難しい選択肢ですが、やらざるを得ません。 更にいうと、下記の3つの軸が必要です。
  1. 市場の定義をどうするか? 海外をどう見るか
  2. 市場のスペックを切るにはどうしたらよいか
  3. 世界観、達成したい未来はなんなのか
日本の市場だけを見ても成り立つ産業もあるでしょう。日本の経済規模は依然大きいです。しかし、ある程度の規模の会社で「英語ができないから」という理由で海外を見ない国の人とあったことが私自身はありません。日本企業ぐらいです。1. は絶対に必要です。次に、技術が良いから、いつかは分かってくれる(お天道さまが見ていてくれる)はとても日本的です。素晴らしいことですが、世界との競争にはいかに、仕組みを創って行くかという欧米型(大陸型)の考え方も必要だと思います。但し、お金儲けだけを目指しては広がりません。もちろん、日本人はお金を汚いと思う傾向があるので、売上とかお金をもっと全面に出す必要があるという認識もありながら、そもそも、その会社が、あるいは、個々人がどんな世界を創っていくべきかという世界観を持つ必要があります。 次回はもっと具体的なステップを考えていきましょう。

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