【01Blog】大企業の新規事業プロセスを考える(5)「買収の前後の心理状態」

投稿者:Goda George
2014/02/05 19:32
会社を買った(買収した)人は出世し、その後の苦労をした人間は浮かばれない。多分、これは日本に限らずそんなものかも知れません。 しかし、どう見ても、会社を買った後にそれをうまくその買収元の利益につなげるかどうかが最も重要だと思います。そのような人事評価制度になったら良いなぁと思います。もちろん、世の中失敗はあると思います失敗自体は成功の要因ですが、同じ失敗を繰り返す会社は多いですよね。特に余裕(利益が出ている、業績自体が現状良い)があると。ポーター先生も平時の変革の難しさを説いております。 さて、私は運良く、買収した側と買収された側の両方の経験を遠巻きも含めてすることができました。何をもって失敗なのか、成功なのかはありますが、結果的に両方共失敗と評価しています。 一般的に、企業買収した場合、その指揮命令系統を当面は保存して緩やかにアドプトしていくのが小生の周りで聞いていてうまく行っているパターンのようです。某大手米国のITベンダーはうまい飯を食わせて、なんて素晴らしい!と買収した人の胃袋から落とすとかなんとか。このような人間の心理的(最低限飯を食える)を満たすのも良い技ですね。 多くの場合、小生が思うに買った側と買われた側で、もちろん、そのケースによりますし、赤字企業を買い取るケースも多いと思います。この場合、大きな企業が伸びているStartupを買った場合を想定してみますと、大きな問題は、それぞれに悪気は無いでしょうし、表立って思っているわけではないでしょうが、買った側は自分たちの配下と思い、買われた側は巷では成功者ですので、いわゆるその瞬間は「勝ち組」です。この深層心理の差は大きいと思います。買う側はある意図があって買ったわけですからできるだけそれを引き出したい。一方、買われた側は場合により買ったがわよりも能力も高いですから、自分のやりたい事をある程度は主張するというジレンマに陥ると思います。 特に海外の会社(欧米系)などを買った場合は、非常に日本人としては弱い立場になりますが、その一方で強権も振るいたいわけで、社長を送り込んだりしますと、成功者の雇用流動型の社会と、そうではない社会の日本人社長では流石に合いません。これは日本の国内同士でも言えることでしょう。 どうしたら良いのか? 色々な方法はあると思います。 まず、意思決定に関してどう見てもStartupと大企業では異なります。意思決定権限をどこまで本気で買った起業に渡せるか。そもそも、その買った企業の社長をボードメンバーに加えることができるのか。心の隔たりを理解できるのか。細かい話を置いておいても大きな世界観を共有できるのか。大きな問題は残ります。企業買収の後に非常に混乱してPMI(Post Merger Integration)は極めて難しい。しかし、過去から日本企業がそうであったわけではないでしょうし、これからはこの企業買収に徹底的に大手〜中企業は向き合っていく時代が来るでしょう。そして、大企業とベンチャー企業両方を経験した人材がとても重要になると思います。
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Goda George
共同代表 取締役:01Booster Inc.

MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計を経て、同社でSwedenの家電大手とのアライアンス、中国やタイなどでのオフショア製造による白物家電の商品企画を実施。村田製作所にて、北米向け技術営業、Motorolaの全世界通信デバイス技術営業を実施、その後、同社の通信分野のコーポレートマーケティングにて全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社に参画、同社Marketing Directorとして主に海外展開、イベント、マーケティングを指揮、KDDIグループによるバイアウト後には、M&Aの調整を行い、海外戦略部部長としてKDDIグループ子会社の海外展開計画を策定、2012年3月末にて退社。現在は01Boosterにて事業創造アクセラレータを運用すると共にアジアにおけるグローバルインキュベーションプラットフォーム構築を目指す。

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