【01Blog】コワーキングスペースのオーナの悩み

2014.08.24

コワーキングスペースのオーナの悩みはなんであろうか? 01Booster自体はアクセラレータ・インキュベーション機能におけるオフィススペースという位置づけなので、コワーキングという言い方をせず、シェアオフィスという言い方をオフィス機能に関してはしておりますが、たまに、東京系のコワーキングのオーナの方と集まって情報交換をしております。そこで、実は、直接「コワーキングスペース」という言い方をしているスペースはあまり無いというのがあります。 そこまでコワーキングに関して理解しているわけではないんですが、少しオーナの悩みという点で私見をまとめてみます。文末に2012年ごろのもの(かつ日本ではない)ですが、Infographicを付けてありまして、この図は結構参考になるのではないか?と思えます。 1. 収益性 まず、コワーキング自体の収益性の低さというのがあります。図でもあるんですが、74%のオーナは別の仕事を持っているということです。実際にコワーキング機能を収入の柱にしているオーナさんはかなり少ない気がします。収益としては、いわば、不動産として価格が明確な(比較対象のある)固定ブース(例えば4名の部屋とか)を持っている、イベントへの会場貸出などが多い気がします。一般のフリー席、固定席は不動産価格と比較して価格設定が安い傾向が強いと思います。シェアハウスは全く別の概念だと思います(これも不動産価値の相場が有るのでそれの付加価値)。 会議室は公共のスペースがかなり安くやってますが、普通の民営はそれに比べて高いので、その丁度中間ぐらいの価格設定が可能なコワーキング系の方がスペースの一部を会場貸出するのは良く見られる例ですし、それで収益が上がっていることは結構聞きます。但し、イベントスペース貸しもその運営者(例:鍵の開け閉めなど)が必要だというところがあります。また、コワーキングも人が増えてくると、仕事空間でのイベントは厳しくなります。初度の入居者が少ない頃はイベント貸出していたが、今はあまりやってない、というのはよく聞きます。 イベントも相当やればOKですが、収益性はその手間、人集めを含めてそれで儲かる?とはなかなか言えない気がします。ちなみに、イベントはどんどんやれば盛り上がるのではないか?という感じがするのですが、そうでもなくて、人は飽きますし、毎回目新しいことを行う、メディア型のイベント実施はかなーり人集めが大変だと思います。ワークショプ型なのか、何がしか、イベントの参加者がイベント参加に対し能動的になるような仕組みが必要になると思います。 ちなみに、コワーキング系で、イベントをやったら入居につながるか?というと必ずしもそうではなく、確かにつながる場合もありますが、相当時間が経ってからです。また、入居者は結構イベントに来ません。この点は感覚がずれると思います。 2. 参入障壁とロケーション 不動産を借りれば良いだけといえばそうなので、参入障壁は低いです。但し、リアルに場所が特定されるので、東京の六本木であれば、少なくとも千葉市に住んでいる人はなかなか来ないと思います。関東であれば1時間圏内、関西であれば30-45分圏内でなければ来ないのではないかと。このため、周りにどれぐらいオフィス利用しそうな人がいるのか(いわゆる人口密度)? 競合するスペースがあるのか?は結構重要です。タケノコのようにここ数年でできたので特に都心部では競争は激しいですね。逆に渋谷ではないと!?というのはあまり無くて、確かに大型の駅は良いのですが、周りに人が住んでいれば(かつある程度駅からの利便性が良ければ)結構場所はどこでもいいのかな?っと思います(少なくとも東京は)。地方のターミナル駅に隣接したようなところ(かつ、競合が少なければ)は地方のコミュニティの場になってうまく行っているところもありますね。 3. 入居者の目的は不動産価値にあるかどうか? 入居者が何を求めるか?ですが、実はコワーキングしたくない(交流したくない)というユーザも結構多いということを聞きます。01Boosterは起業系しかいないので、少し話が別ですが、雑多な感じになると必ずしも皆が交流したいわけではないということになります。となると、オフィスの利便性、価格などを第一目的にされる方の場合は、ターミナル駅近の大型スペースなどか、(最近は規制が厳しいですが)バーチャルオフィスなどもあり得ます。また、東京は比較的地価が高いですが、地方都市ではかなり安価で個室が借りられたりもする(東京でも公共のスペースは安い)ので、こことの競合にもなります。設備・コストなど不動産価値をベースに考えてくる方の場合、交流させたいといった目的とずれる可能性はあります。 4. コミュニティと目的 コワーキングをやりたい方はかなりいらっしゃって、人が集まり、何か新しいことが起こる。交流を興したいというのは確かにWillとしては分かりますし、実際に色々な交流や相乗効果が興るといえば興ります。一方、何がしか軸が無いと厳しいであろうなぁとは思います。デザイナー向けなのか、起業家なのか、フリーランサーを集めるのか。ある程度、オープンイノベーション的な、という気持ちはあるものの、実際にはある程度趣向が揃った人が集まりますので、色んな人!とすると逆に厳しいかと。ジョブを入居者に投げるとか、デザインでの仕事をオフィスの人づてにもらえるとか、色々な副次的な効果により人が定着する部分があります。起業系に関しては、しかたがないんですが、大きくなって成長すると出て行ってしまうというところがあり、この点は先に心しておいたほうがベターだと思えます。 もう一点、入居者を獲得するために、何がしかのネットワークベースがあると良いですね。01Boosterの場合は、国内MBA系ネットワークなどが強いです。 色々ありますが、そこに来なければならないとまでは行かないものの、それに近い入居者が来るべき「目的」が顧客目線で明確ではないと結構キツイかとは思います。アンケートを取れば、場所があれば「来たい」とは言いますが、それは「あったらいいな」なので、「マスト」ではない気がするのです。 いわばコワーキング的な要素を盛り上げたい場合「あったらいいね」ではない、共感性のある目的が入居者にあると大きいですね。目的がぼやっとしたいわゆる「箱物」というのが一番厳しいところです。 5. オーナの気持ちの問題 収益性に比べて手間がかかるので、結構オーナさんは想いがある場合が多いと思います。この想いが市場(顧客ニーズ)に合っていれば良いのですが、合わない場合も散見され、その場合は解散されたり、当初の目的と異なる形になっているケースも多いです。何がしかの企業の子会社的な位置づけも多いですが、この形では親会社の方の気持ちと収益、運営者の気持ちあたりが結構複雑なところです。 6. 運営者・サポート者 相当な部分を運営者が誰か?が運営を左右すると思います。面倒見が良い運営者やスタッフが居るところは結構人気がありますね。また、初度の立ちあげメンバーはできるだけ多い方が良いようには思えます。最初は個人的なネットワークで入居を取ってくるケースが多いので、人数が多いとその個人的ネットワークも大きいですから。 7. 時間軸 下の図にもあるように、「古く」て「大きな」スペースの方が収益性が良いと。その通りで、やはり時間が経ってだんだん入居者が増えるのと、結局、物理的な大きさに左右されますので、程度の問題はあるでしょうが、ある程度スペースの大きさは大きい方がベターだったりはします。 いずれにしろ、やってみると、あるいは周りと話してみるとわかることも多いです。面白いですね!  

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