【01Blog】大企業の研究者・技術者がリストラされたら気をつけること(3)

投稿者:Goda George
2014/09/16 03:35
露頭に迷うという恐怖、しかし、そうでもない 研究者・技術者に関してはポジションをずらしてみるというのはあります。私も申し訳ないですが、技術至上主義だったので、文系そのものを否定する価値観を持っていたのです。歴史、古文、国語、経済、これはダメな人の学ぶもので、理系の教科、技術こそ全て。今は流石にそこまで偏った思想を持っている人は居ないでしょうが、当時は本当にそう思っていたのです。(前回コラム(1)(2)) 営業、経理、マーケティング、その他なんでも、技術者(研究者)が一番偉くて、それ以外は偉くはないという価値観ですね。これは技術神話のなせる技であり、今一度立ち位置を考えねばなりません。世の中には技術革新により世界が変わった例もあります。産業革命もそうですし、いくつかの戦争関係は技術的なもので左右されたでしょう。しかしながら、それだけではないと思うのです。 問題意識をユーザが持って、それを解決する「時に」技術開発があり、その技術を使ったサービスを使えるインフラが整い、それを皆が知る広報が必要です。大きな勘違いに、 研究開発=新サービス・新規事業開発 という考え方があります。これは「違い」ますね。新サービス・新事業開発の一つの要素が技術開発であり、時には世界を変えるようなサービスは技術からばかり生まれたわけではありません。Appleは技術開発をしている部分も多いですが、部品などは日本や韓国から買っているでしょう?部品技術はやれる人に任しており、そこを開発したいなんて思いません。もっと上位概念で世界観を創っているのです。 技術神話の悪夢から目を覚まさねばなりません 後、これは私だけかも知れませんが、本当に優秀な研究者はやはり相当若年の頃から能力的に凄い必要があって、By Nameで有名な人(〇〇社の○さん、ではなく、○さん、あ?あの人、あの会社に居るんだ?)になっている必要があると思います。そうではない人は中堅と言えるでしょう。世の中には比較優位の法則があります。汎用的なものであれば多かれ少なかれコストの安い途上国に勝てない。研究開発のようなお金をとても使うものは汎用でコストの高い先進国の人材を使ってやることには無理があります。 では、今ひとつ考えて欲しいのです。研究者・技術者には色々な道があります。人間は経験したことしか理解できませんので、技術の目利き部門に行くことは可能です。技術投資(投資家だけの人には本質的な事は絶対理解できません)、技術目利きなど。 某米国のIT企業がうまく行っているのは研究者の間に方向性を司るコーディネータが居ることのようです。研究者は勝手にやらせるととにかく変なことをやり出します。技術的に面白いかもしれないが、極めて商品性がないことですね。とにかく、固く細い金属線なんてのはひたすら追い求めますが、ある時点で商品候補がなくなるでしょう。多くの研究者は市場から分離されておりますし、本を読もうがメディアを見ようが生の声からは遠すぎて、このようなことは非常に起こりやすい。このような事が起きないようにコーディネータがガイドするのです。 正直、若いころに名を馳せられないのであれば、能力が無かったと思って諦める。プロ野球の世界で勝てなくても道はあります。他にもあります。研究者はとにかく真理を追求します。世界は複雑ですが、物理上の答えは真実一つしか無い(ハイレベルでは突っ込みどころ満載のコメントですが許して頂くとして)。この考え方はリサーチやマーケティングにかなり有効です。本質は何か?を知るのに極めて基本的な嗅覚を磨いてきたのですから。 技術へのこだわりを捨てて、差別化を図ろう 大学の先生に言われたことを思い出します。「人の行かないところで勝て」です。メインコースは優秀な人がひしめき合います。そうではないところで勝つのです。盲目の国では片目の人が王という言葉を思い出して欲しいと思います。文系の世界には生きるところがたくさんあります。 相手にもよりますが、大企業によって、ものすごい能力の嵩上げがされておりますので(スペシフィックスキル)、とにかく、自分のポータブルスキルに集中し、自信をなくして欲しいという意味ではなく、 大企業に居る自分は日本で最も地位が低くダメな人間なんだ・・・ と自分の大企業としてのプライドをできるだけ戒めて下さい。起業すれば大企業の頃にはあってくれた人はもうあってくれません。他社も能力を見てきます。皮肉なことに自社ではNGとされたような起業家精神的社内行動を他社は見てくるのです。技術者・研究者としてのこだわり(技術神話)、文系への卑下、大企業としての奢り。これら三大悪と戦うのはとてもたいへんですが、やらねばなりません。そして、自分たちの人生を振り返り、自分は本当に生きてきたのか?と。今までの事は今までの事。会社を責めても、過去の自分を責めても仕方がないです。戦後に日本には何もなく、そこから復興しました。綺麗なオフィスも高い給料も無かったと思います。全てはその後の皆様の努力の上に成り立っているに過ぎない。今こそ、その時を思い出しましょう。 なので、相当厳しいと思いながら今の現状から出てくれるとありがたい。実際に私も最初の電機メーカをやめるときに「露頭に迷わないか心配だ」と上司に言われました。何故か、会社を辞める前に、ファミリーデイがあり、親を連れて会社に行きました。父は戦中生まれですので、中学校の頃には学校にお弁当をもっていけないぐらいの貧乏でした。社食でカレーに肉が沢山入っているなんて、なんて良い会社だと。実際にそう思います。 私は最初の会社で色々学ばせて頂いたし、まだまだ起業家精神もあった。真面目に皆さん良く働いた。しなしながら競争・市場環境が変わってしまって日本自体がイノベーションのジレンマにやられているのかも知れません。それを嘆いても仕方がないです。新しい環境に対応しましょう。会社で付き合っていたクリエーターさんも大手電機メーカの出身者でした。彼が言った言葉を思い出します。 大企業を辞めたらどうなるかと思った。しかし、実際にはなんてことなかった。 邪魔なのは三悪(技術神話、文系業務への卑下、大企業のプライド)です。自分の心の刷り込みを取るのはたいへんです。変化こそ全て。 Control Your Destiny or Someone Else Will 自分の人生は自分でコントロールすべきだ。さもなければ誰かにされてしまう。 by ジャックウエルチ
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Goda George
共同代表 取締役:01Booster Inc.

MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計を経て、同社でSwedenの家電大手とのアライアンス、中国やタイなどでのオフショア製造による白物家電の商品企画を実施。村田製作所にて、北米向け技術営業、Motorolaの全世界通信デバイス技術営業を実施、その後、同社の通信分野のコーポレートマーケティングにて全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社に参画、同社Marketing Directorとして主に海外展開、イベント、マーケティングを指揮、KDDIグループによるバイアウト後には、M&Aの調整を行い、海外戦略部部長としてKDDIグループ子会社の海外展開計画を策定、2012年3月末にて退社。現在は01Boosterにて事業創造アクセラレータを運用すると共にアジアにおけるグローバルインキュベーションプラットフォーム構築を目指す。

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