【01Blog】ディズニーですら外部を本気で活用する時代に今の日本は勝てるのか?

2015.01.18

ディズニーという超優良企業ですら外部リソースを活用する時代に、このまま自前主義の日本企業は勝っていけるのであろうか? 映画には人の好みがあると思いますが、ベイマックスを見てあまりの凄さに感銘を受けてしまいました。え?こんな映画創れるんだ!っと。もしも、私が事業創造アクセラレーターに携わっていなければ良い映画の一つで終わっていたかも知れません。しかし、今回はこの映画を見て、オープン・イノベーションの破壊を心底感じたので、ここにまとめておきます。 ディズニーはDisney Acceleratorを実施したことは記憶に新しいです。このディズニーアクセラレーターでは、ディズニーやピクサー、それ以外の起業家、投資家で143名という巨大なメンター陣を擁しているのが特徴です。まさに「ザ・ディズニーワールド」ですね。世界のトップはここまで来ていると思うのです。世界のトップクラスのクリエイターやその関係者が143名で"世界の"ベンチャー企業をサポートするというのです。世界のトップ企業のこの創造への姿勢を今一度振り返りながらベイマックスを感じました。 IMG_8838 「アナと雪の女王」が大ヒットしたのは皆様もご存知の通りですが、これは買収されたPixarの力が大きいです。手書きにこだわり、低迷をしていたディズニー・アニメがCGに舵を切り、そして、自前主義を捨てて、Pixar買収に踏み切ったのです。もちろん、いわゆるアニメの競合のPixar潰しではありません。Pixarにアニメの社運を賭けているというこの態度(ラセター氏をチーフクリエイティブオフィサーに登用)。そして持ち込まれたのがまさに「クリエイティブキャピタリズム」です。キャピタリズムの話をしたいのではなく、クリエイターたちが切磋琢磨して、案を出し合って最高の物を創りあげるプロセスです。まさに「ボトムアップ型のオープン・イノベーション」ですね。日本のQC活動にも通じるものとも思えます。皆が良い物を創ろうと必死になった結果です。 ベイマックスの話はここにエントリーがあります。スタジオ閉鎖に追い込まれそうで、自信を失っていたディズニースタジオがPixar買収により、立て直されていくストーリーです。 もちろん、ただ単純に困ったから形式的に買収しただけではいくら米国企業でもうまくいかないと思います。本質的に事業創造をしようとしたのです。そこで、Pixarのラセター氏に権限を与えたのです。必死さを感じます。多くの米国企業で見られますが、買収したら、そのトップをその事業の責任者にします。そう、パートナーなのです。 IMG_8826 ベイマックスは、サンフランソーキョ(つまり、東京とサンフランシスコの造語)、日本の風景とサンフランシスコがミックスされ、ロボットや最新技術のオンパレード。まさに、作品自体がオープン・イノベーションなのです。ディズニーといいますと、昔の作品の焼き直し的なイメージ(今回も昔のアメコミの話ではありますが、それは別として)があり、私個人としてはかなり否定的な印象でベイマックスを見たのですが、オープン・イノベーションにより全く新しい形に変貌を遂げた同社の作品を見るにあたり世界はものすごい前に進んでいると感じました。なんども言うようにエネルギー自給率4%の日本がこの流れの外で生きる未来はありません。乗るのか、あるいは自分が文化を創るかです。 最も思ったのは彼らはどんなことからも学んでいると感じたことです。正直、今の日本を衰退したとは思っているでしょう。その日本からも貪欲に学んでいます。この姿勢をいつの間にか先進国の奢りで日本や日本企業は忘れてしまったのではないでしょうか? 全ての物にはプロダクトライフサイクルに言われるようなな導入、成長、成熟、衰退のフローが有り、残念ながら、かなりの日系企業は成熟か衰退の状況にあると思います。新しいことの導入には新しいリソース、新しいリーダが必要です。ディズニーですらオープン・イノベーションに社運を賭ける時代にあり、自社はそれよりもイノベーティブと思えるのであれば自社主義・自前主義も良いでしょう。そうでないのであれば、今一度、真剣に本質を直視する必要があると思います。

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