【01Blog】地方創生、地方の事業創造はどうやったら上手くいくか?「現状の仮説」

投稿者:Goda George
2015/03/26 17:30
地方創生は大きなテーマではありますが、どうやったら上手くいくのか?の現状の「仮説」を少しまとめてみます。 01Boosterは地方創生をメインにして活動しているわけではありませんが、落ち込んでいる(と思われている)地方を活性化したいという「マイナスをゼロ」にする切口ではなく、経済力や産業はあるがまだ十分な事業創造を興す余地がある、つまり「ゼロをイチ」にするという観点で地方を見ています。 萩の地方創生アクセラレーターの模様はこちら。佐賀はこちら1. そもそも日本の地方の経済力とは? もちろん、経済停滞する中ですので、喜んでもいられないのですが、日本の地方は一国並みの経済力を持つ事を前提で考える必要があります。今はエストニアの経済規模も増えていると思うものの、最近のデータでは鳥取と経済規模が同じぐらいです。下記の図は結構出回っておりますね。これはすごい!と誇りたいのではなく規模としてはこんな感じと。 gdp http://rocketnews24.com/2012/01/19/174003/ 2. 東京と比較しない方が良いのではないか? 様々な指標がありますが、例えば、こちらの評価では東京は世界で4位です。ロンドン、NYC、パリに次いでとなります。となると、アジアでは東京以上の都市は無いのです。 ここと比べたら日本のどこの都市をみても、寂れているとなってしまいます。なので、東京と比較するところが根本的に問題があるのではないかと。
つまり、国際的に見て経済力もそこそこある地方が、東京と比較したら確かに人も経済力も少ないかも知れないが、そもそもそこまで困っていて産業が無いのか?という前提が正しいかどうかというところですね。
3. 地域格差はあるのか? 日本の人口は減少していますが、現在のところは世界で10位です。186位中10位です。ここにまとめてありますが、地域格差は国際的に見たら非常に少なくなっております。このGlobal Rich Listは有名ですね。沖縄県の所得が少ないですが、これをGlobalで見てみると円安の影響もあって、前よりも状況は悪いものの下記の状況です。物価も違いますからもちろん単純な国際比較はできません。しかしながら、世界で見れば相当の高所得者です。 01Booster 1.-3.をまとめると長期的には確かに地方の活性化は極めて大きな問題だと思いますが、短期的にはそこまで問題ではないかも知れないという前提を持つ必要もあるかと思います。 4. ではどうしたら良いのか? これは実は大手企業の新規事業・事業創造に状況が似ています。もちろん、会社にもよりますが、売上が結構あり、利益も出ているが、売上が横ばい、または落ち気味の状況は中長期ではたいへんな問題ですが、短期的にそこまで従業員に危機感はありません。では、どうしたら良いか?ですね。小生の考えをまとめてみます。 基本的に地方創生はニーズの段階で言うところの傷み(Pain)までは至らない中位のニーズ、つまり「あったら良いね/弱いニーズ」「本当は必要なんだが/中位のニーズ」「痛い(Pain)/強いニーズ」で言うところの「本当は必要なんだか」に位置しますので、誰もが必ずしもモチベーションが高いわけではないと思えます。小生が良く考えるのは「頭に鉄砲を突き付けられて要求されたら何をするか?」であれば非常に目的に直線的な行動を人は取ると思いますが、実際はそこまで切羽詰まっていないので、色々な力学が働くと思います。
  • 他地域とネットワーキングする。これは世界の各都市各企業が国境を超えて叡智を集めているというマクロを見ると、いくら日本の地方に経済力や産業があっても、自地域だけで閉じた活動に関しては残念ながら未来が無いとも思えます。また、日本は本当に産業も地域もバラバラだと思います。例えば、日本梨なら分かりますが、鳥取梨は国単位で出てくる、韓国梨や台湾梨には流石に勝てません。日本は国としては大きいですが、地域ではやはり地域です。
  • 海外と何かを実施する場合には日本の事業創造における状況と比較して、同等の地域を想定する必要があります。地方の経済力はあるものの、起業や投資活動に関しては日本という単位でトップクラスの国の一桁落ちになります。経済力は地方にはありますが、なかなか起業という分野で地方が他国と付き合うのは難しいケースがあります。経済力とは異なり「蟻と象」となるというイメージです(他国の行政の方になんで日本は県単位でバラバラで来るんだ!君の国はどうなっているんだ?と言われたこともあります)。
  • 初期投資などに補助金は使うべきで、P/Lに補助金を使わない。P/Lに使ってしまうと、補助金ベースの事業収益に合わされてしまい、経済合理性が保てないと思います。事業はたいへんであり、人間は弱いものだと思います。
  • 全体での合意形成よりも、モチベーションの高いメンバーを中心に進めてしまう。これは企業もそうですが、全員一致してというのは(日本人はこの民主主義の負の部分が好きですね)流石に難しいですね。特に東京に出てきているようなメンバーで地方を思う、郷土愛は貴重ですので、これは大いに活用すべきかと。
  • 世界観を上げる。特定の地域の創生は特定の地域外の方の共感は呼べないと思います。なので、視座はできるだけ広域に。町よりも市、市よりも県、県よりも地域、地域よりも日本、日本よりもアジア。。
  • 事業創造に関してのリテラシーを上げる活動を実施する。起業教育のしっかりしている欧米と比べて、日本は起業等への教育がかなり不十分だと思います。能力の問題というよりは過去に勉強したことがない。この点での教育は地方に必要だと思えます。
  • 支援人材のインセンティブ設計をしっかりする。Vigoアクセラレーターが良い例かと思います。私は人は(お金だけではなく何かの)インセンティブに素直に動くと思ってます。インセンティブ設計が事業創造にダイレクトに効くのか?が重要だと思います。事業が起きても起きなくてもインセンティブが何も変わらないのであれば、あるいは、事業といっても、細かく、売上がどれぐらいで、(補助金に頼らず)持続可能で、成長していてなど、その成功の定義に関して直接インセンティブが効く形になっている必要があると思います。
  • メンター陣を充実させる。メンターの効能はこちらに記事があります。極端に言えば、事業が起きないのであれば、支援人材とメンターが適切に動いていないとも言えます。その原因を特定する必要があるかと。アメリカで3位のアクセラレーターのTechStarsのメンター心得があります。結構頷ける部分があると思います。
  • 中長期的な取組に。なかなかマッチングや単発のEventでは成果が出ないという話は様々なところで聞きます。これは行政が単年度予算であるなどの問題がありますが、制度上のことをとやかく言っても今日明日には変わらないかと思えます。少なくとも、小生の仮説では、日本はオペレーションが強いのでビジネス自体のリテラシーは決して低くはないですが、そもそもの起業や事業創造のリテラシーはまだ初期段階であると思っております。なので、一足飛びに事業創造とは行かず、①気づいて頂く(これはイベント等が効果的)、②起業等のプログラムを動かす(例えば01Dojoのようなもの)、③形はまだ未確定ですが、地方の企業をベースにしたアクセラレーター的な取組、地域は企業が無いと言いますが、実際には結構あります。④これを行政で広げて頂く。というように①〜④のステップが必要だと思えます。初動は民間の方が得意でしょうから、民間で、ただし、大きくするのは官の方が得意で公平性もあるので、官でだと思います。日本は人材流動が非常に低いですので、餅は餅屋という考え方をもっとする必要があります。日本人の良いところはしっかり低層教育されておりますので、ある程度まで出来てしまうというところですが、この事業創造ではこの利点が逆に欠点になると思っております。やはり経験したことしか分かりませんので、ここは様々な専門の人を適切なインセンティブの元に活用する必要があると思います。
  • 本当は大学がコアになると良いのですが。。というところですね。
先に述べたように地方創生に関しては中位のニーズであると思います。つまり、傷み(Pain)までは至らない。なので、総論賛成、各論反対という感じだと思います。人は誰もがそこまで変化したいとは思っておりません。例えば外国人のインバウンド観光をやりたい!という人は多いですが、地元が実際に外国人に来て欲しいか?というとそうでもない場合も多いです。 いずれにしろ、地方創生に関してはまずは行動であることは間違いないと思いますし、そこには郷土愛というのは強烈なモチベーションになると思います。かっこ悪かろうがなんだろうが行動する事により道はひらけるのではないかと。 小生は地方創生の専門家ではないですが、色々な地域を最近は回らして頂いている関係からここに現状までの仮説をまとめておきました。日本の地方はどこも非常に綺麗であり、ゴミも落ちていないですし、まだまだ経済力があります。今手を付けるときではないかとは思います。
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Goda George
共同代表 取締役:01Booster Inc.

MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計を経て、同社でSwedenの家電大手とのアライアンス、中国やタイなどでのオフショア製造による白物家電の商品企画を実施。村田製作所にて、北米向け技術営業、Motorolaの全世界通信デバイス技術営業を実施、その後、同社の通信分野のコーポレートマーケティングにて全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社に参画、同社Marketing Directorとして主に海外展開、イベント、マーケティングを指揮、KDDIグループによるバイアウト後には、M&Aの調整を行い、海外戦略部部長としてKDDIグループ子会社の海外展開計画を策定、2012年3月末にて退社。現在は01Boosterにて事業創造アクセラレータを運用すると共にアジアにおけるグローバルインキュベーションプラットフォーム構築を目指す。

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