【01Blog】大企業のオープン・イノベーションを巡るジレンマを追う!

投稿者:Goda George
2015/07/02 23:11

大手企業のオープン・イノベーションを巡る問題点は非常に酷似しています。

大手企業の方と色々なディスカッションを実施しますが、ミクロ的には会社で状況は異なるものの、状況は非常に似ています。一つは社内だけでなかなか新しい事業を産めないので、外部との連携、特にベンチャーとの連携を図るというものです。ここにまとめてみます。

1. ベンチャーへの誤解

ベンチャーと一口で言っても様々です。一般的には、Startup・IT系のベンチャー企業を思い浮かべる人も多いでしょうが、学生起業もあれば、大手企業に長く務めた後に起業された方、業種も様々です。「ベンチャー」と一言にいえども文化は大きく異なります。もう一つはEquityへのリテラシーもあります。日本の多分、殆どのベンチャー企業はリスクマネーを受け入れて株を投資家に渡す事に慣れていないか、発想として持っていないケースが多いです。正確にはわかりませんが、日本の非常に低い起業活動率とリスクマネーの供給(GDPと比較して)を考えると、今、対面しているベンチャー企業は非常に一部の狭いセグメントではないか?という仮説を持ってベンチャー企業に会う必要があると思います。

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2. 社内コンテストへの誤解

社内プランコンテストを実施して「良い物がない」という声を良く聞きます。一方で、プランを提出する社員側も「せっかく出したのに潰されてしまう」というフラストレーションを持っているケースが多いです。社内でなかなか良い案が出ないというのは考え方がシフトしている事と、逆に非常に素晴らしいビジネスモデル(後で見たら)を持ち込んだ場合、往々にして文化変更を伴うので、その時点での「誰にも」評価不能です。アイデア偏重(何か魔法のようなアイデアがあるのではないか?)という考えと、逆に魔法のようだと評価できないというまさに「ジレンマ」状態になります。よく使う例が下記です。

ペットボトルのミネラルウオーターを30年前に社内プランコンテストに出したら誰か賛同しますか?

つまり、文化を変えるようなビジネスは評価できないのです。もう一つは社内だと「弱い紐帯の強み」が使えない欠点があります。

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3. 社内に事業立ち上への経験者が少ない

実は新規事業を立ち上げた経験者は社内には少なく、一方で、起業活動率の低さから起業経験者も少ない現状があります。このような中で「社内起業」を煽っても周り中に経験者が居ない(≒理解者も居ない)のではなんとも大変です。

4. 社外の人に社内の新規事業を興すのは難しい

新規事業を社外の有識者を呼んで実施するというのはよくあります。これはベンチャー企業に頼る場合もそうでしょう。ここで考えないとならないのは「新しい人に新規事業を起こさせるのは失敗の原因」ということです。最もこのブログの大きなテーマは下記です。

社内に仲介人材、カタリスト、触媒人材を先に創らなければどんなオープン・イノベーションも難しい

一方で、これを一般的に経営陣も社内もあまり重視しません。外部の力を使うのも決して積極的でもありません。外部を中途半端に使って、かつ、仲介・触媒人材が社内に居ない状態ではオープン・イノベーションは失敗すべくして失敗していないでしょうか?

5. 失敗が許されない。規模の大きなビジネスしか認められない。

そもそも経験が少なく、規模の大きいビジネスを構想することに素人な社内のメンバーに大きなビジネスを創るように言ってもロジック的に無理があります。能力の問題というよりは、能力開発されていないということになります。また、ベンチャーでも2年は事業を成功させるのにかかること、もうひとつは、実は、当たるビジネスモデルを探すのが新規事業であり、

失敗を過程と考える必要があります。科学・化学実験では失敗とは思わず、過程として、実験を行い、正値を探しますが、同じだと思えます。

この点には大きな誤解が有ります。スピードの早いベンチャーで2年、かつ、何個も失敗(成功までの過程)を繰り返して、正値(成功するビジネスモデル)を見つけるので、これを全て禁じられては非常に成功確率の低い中での新規事業となります。

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6. オープン・イノベーションの取組が全てお祭りに思われてしまう。

マッチングイベントにも意味があります。大企業側のニーズが明確であり、業務委託先・業務提携先を探すのであればマッチングイベントは有効です。

一方で、大型のビジネスを創るようなベンチャーと連携する場合は、スピードが1000倍は違うので、普通のマッチングイベントは難しく、時系列的に第三者(大手企業・ベンチャー企業双方の利益を考える仲介プログラム運営者)が介入する必要があります。

アイデアソン・ハッカソン自体ではビジネスが起きませんが、マインドセットを形作るのには有効です。

つまり、それぞれに意味があります。理論上おかしい事は上手くいかないので、仮に、新規事業が上手くいかない、ベンチャーとの連携が上手くいかないのであれば、それ相当の理由があります。

この本質的な理由を知る・または、社内で理解させるには相当の手間がかかりますので、オープンインベーションの取組が全て同じようなお祭と思われてしまう傾向があります。

目的を明確化し、それに適した手法を取りましょう。

7. 経営陣を口説けない。

これは大きな問題ですね。内部では難しいです。外部と連携しましょう。社内の意見はなかなか受け入れられませんが、社外の方の意見は通りやすかったりします。人間は見たものしかわかりませんので、ご体験頂くのもよいでしょう。同じような事をしている他社事例も参考になります。

8. 最後に。

日本はインセンティブ設計に難があります。つまり、新しいことにチャレンジすると社内の抵抗に合いますが、それを飛び越えてまで頑張ってもインセンティブ設計が無いのです。 人事制度の抜本的な更新が必要になりますが、これは簡単にはいかないのでしょう。誰もが会社を良くしたいという方向性は持っていると思います。助けあいましょう。ノウハウをシェアし合いましょう。日本は1社が良い悪いという世界ではもうなく、産業内、産業間、地域間で連携しなければならないほどに追い詰められていると思います(短期的には問題無いですが、少なくとも長期的には)。

社内で頑張るサムライ達の努力が報われる社会を願って

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Goda George
共同代表 取締役:01Booster Inc.

MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計を経て、同社でSwedenの家電大手とのアライアンス、中国やタイなどでのオフショア製造による白物家電の商品企画を実施。村田製作所にて、北米向け技術営業、Motorolaの全世界通信デバイス技術営業を実施、その後、同社の通信分野のコーポレートマーケティングにて全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社に参画、同社Marketing Directorとして主に海外展開、イベント、マーケティングを指揮、KDDIグループによるバイアウト後には、M&Aの調整を行い、海外戦略部部長としてKDDIグループ子会社の海外展開計画を策定、2012年3月末にて退社。現在は01Boosterにて事業創造アクセラレータを運用すると共にアジアにおけるグローバルインキュベーションプラットフォーム構築を目指す。

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