01Blog / 起業・ベンチャー支援に関して考える

投稿者:Goda George
2016/02/19 00:00

起業支援、ベンチャー支援は人気のある業種だと思います。ベンチャー(スタートアップ・起業家)を支援したいという話は良く聞きます。人が何をやりたいかはそれぞれなので、それが良いか悪いかという議論ではなく、ここに少しベンチャー支援に関してまとめてみます。

まず、ここで扱うベンチャー支援はグローバル機会成長型、つまり、大きくなるビジネスを扱うベンチャー企業支援に関してです。ここでもう一度スタートアップの定義を振り返ってみます。

スタートアップは急成長を目的とした組織である。

このために「普通」では駄目で狂っている必要があるということですね。このようなベンチャー支援を考えてみます。スタートアップでグローバル事業機会をターゲットとしている「起業家の支援」とします。

1. 起業家は教育して欲しいと思っていない

初めて起業される人、されたい人は学校で言うところの「教えてほしい」と思っていると思います。つまり、教育ですね。しかしながら、時に「起業家に教えてあげたい」という人に出会います。どうしても違和感を感じてしまいます。業界の知見は初めてなら知りたいし、なんでも学ぼうとする起業家は優秀だと思います。しかしながら「教師が生徒に教えるように教えてほしい」とは思っていないと思うのです。メンターの条件を振り返ってみましょう。

共に学び合う

という発想が仮に起業家教育では教える側に必要だということです。起業家に教えてあげたいというのはちょっと失礼な発言だなぁと思います。何故なら、教えられる側の人は世界を変えようとしているのですから。

2. 起業家支援は儲からない

公教育に近いですね。お金持ちの起業家もいますが、特に日本の場合はどのような状況でも起業可能なので、お金がない場合も多い。「スタートアップにサービスを提供したい」という人は居ます。「儲からないですよ」と言うと「調達した人ら大丈夫でしょ?」というのですが、お金はあっても事業化できていない時にはそーんなにお金は使えないです。なので、そもそも儲からないので、お金を取る相手ではないですね。

3. 自分の不満を起業家支援で晴らしていないか?

大きな会社では自由も効きません。このため、様々な不満を持つのは理解できます。必ずしも悪いわけではないですが、その不満を起業家支援で晴らしていないか?と思うところです。確かに、スタートアップは意思決定も早いですし、不安はあっても不満は無いので、愚痴もあまり言いません。大手企業の方でベンチャーに関わる事が悪いわけではない(時に大きなHelpにもなるので)のですが、結局、直接自分の不満に対処しないと、不満は解消されないので、長くは続かないかなぁ?と思います。

4. 成長の痛みを味わった創業系に携わった人以外は本質的には起業家支援できない

ベンチャー支援側が必ずしも良いか?という話はこちらにまとめました。ここは2つに分かれると思います。特定情報の支援「専門的支援」と起業そのものの「起業支援」です。特定情報とは例えば物流であれば物流会社に務めている人のナレッジは凄いので、その分野では支援できます。なので、起業系の経験が無いと必ずしも支援できないわけではないです。この点に誤解が有ります。誰でも社会人であれば特定の分野には高い専門性を持っておりますので、できる範囲で支援すれば良い。しかしながら、起業そのものはどんなに勉強しても「70:20:10の法則」で経験が無いと分かりません。失敗経験も重要ですが、スタートアップは急成長するので、成長の痛みを味わった人が良いように思えます。成功経験は必ずしもプラスにはならないのですが、成長した人は必ず、失敗も大量にしていますので、起業して失敗した経験だけではキツイかなー?と思います。起業⇒成長⇒倒産の経験があったら最強ですね。実は成長するよりも、成長したものの規模を縮小する方が難しいと言われています。

自分で主体的に事業開発したコンテンツが非常に重要になると思います。

5. 投資は必ずしも起業家支援とはインセンティブが一致しない

起業家の支援では結果的に投資という形でのインセンティブ設計が大きいとは思います。しかしながら、投資家が良い起業支援ができるか?と言われるとちょっと話が変わります。投資によるリターンは、極論すれば安く投資して高く売るということなので、起業家のためにならない要素を必ず含みます。ここが難しいところです。多くのインキュベーター・アクセラレーターが育成部分と投資部門の人や組織を分けているのはこのためです。もう一点、ファンドは手数料ビジネスなので、たまに当たりますが、それは予測できないので、サイズが小さいと経営上のキャッシュフローは小さくなります。このため、ファンドサイズを上げるという方向になり、結果的に立ち上げ期の起業家は出資サイズが小さいので扱いにくくなります。このジレンマ・矛盾が投資と起業家支援の間には存在します。

6. 行政・大学・企業のCSR的な起業家支援は難しいところ

結局、人はインセンティブに従って動くと思います。特にスタートアップを教育という形で支援する難しさは1.で書きました。行政・大学・企業のCSRなど公教育に近い部分で起業支援をすることは良いのですが、支援者側のインセンティブ設計が多くの場合ありません。給料が出るからいいのでは?という考えもわかりますが滅私奉公に近い。スタートアップはビジネス的に急成長しますので、ビジネス的にインセンティブの付かない組織や形式で支援するのは実は運営者にとって非常に難しいところです。

7. コンサル系の起業支援が難しい理由

決めるとアドバイスは大きく異なります。不格好経営で南場さんがおっしゃっているよう、起業家とコンサルは大きく違います。実は能力的というよりは過去の経験に引っ張られるので、コンサルの方は起業家的にはかなり難しいと思ってます。というのは当然様々なアドバイスをして感謝されます。一方で、自分で決めることとは全く別ですので、大手企業が起業する時のジレンマが大きくなった状況になると思います。なので、上の4.で言うところの「専門的支援」以外は難しいと思ったほうが後々楽かと思います。

8. 社内起業と起業は全く別物であると知る

社内起業と起業はプロセスがほとんど別です。大企業出身者の起業のジレンマを思い起こしましょう。

上記色々書きましたがまとめると下記の3つになるかと思います。

・起業経験者しか起業そのものの支援は難しい。知らないことを理解するという考えが重要

・上記に関連しますが、自分が「主体的に」事業開発したコンテンツが重要

・起業支援はそのものとして儲からないのでインセンティブ設計が必要

・起業家支援は「教育」という発想では回らない

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Goda George
共同代表 取締役:01Booster Inc.

MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計を経て、同社でSwedenの家電大手とのアライアンス、中国やタイなどでのオフショア製造による白物家電の商品企画を実施。村田製作所にて、北米向け技術営業、Motorolaの全世界通信デバイス技術営業を実施、その後、同社の通信分野のコーポレートマーケティングにて全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社に参画、同社Marketing Directorとして主に海外展開、イベント、マーケティングを指揮、KDDIグループによるバイアウト後には、M&Aの調整を行い、海外戦略部部長としてKDDIグループ子会社の海外展開計画を策定、2012年3月末にて退社。現在は01Boosterにて事業創造アクセラレータを運用すると共にアジアにおけるグローバルインキュベーションプラットフォーム構築を目指す。

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