01Blog / 存在しない顧客を発明してはいけない

2016.03.22

中国4.0という戦略本があります。この本に戦略の誤りがなぜ起こるのか?という形で、起業や新規事業にも参考になりそうな事が書いてありました。それを参考にして、なぜ、後で考えれば当たり前にうまくいかないビジネスが実施されてしまうのかを考えてみます。

1. 正しいが今は狂っているアイデア

これは前回ブログにしました。つまり、現在は認識されていないので、そんなのは無いでしょう?というアイデアなんですが、正しいものです。大きなビジネスはこの部類に入ります。現在は言い表せないものですね。

ウオシュレットも最初は水回りに電気製品を持ち込むので嫌悪されましたし、ロボットクリーナーも最初はボロカス言われました(ちなみに、私は日本で初めてと思われるロボットクリーナーの販売に関わりましたが、市場の反応たるや・・物凄い批判をされました)。

但し、これらは今は普及品ですので、当時は狂っていましたが正しいアイデア、であり、潜在的に顧客は居たということですね。

2. プロダクトアウトが悪いわけではない

ジョブズのアップルのiPhoneも最初は酷評されたと思います。しかし、実際には今は非常に普及しています。iPadのようなタブレットも元々類似製品があってふるわかなったので最初は酷評されておりますね。但し、彼らがそのようなものを喜んで使う架空の顧客を発明したわけではなく、ユーザーニーズの未来は捉えていたように思えるのです。つまり、正しいが今は狂っているアイデアを実践したということですね。

3. 自分に都合の良い顧客を発明してはいけない

多分、問題はここですね。この世に存在しない顧客を発明してしまうということです。自前主義が強い会社(会社を養ってくれるために顧客が居ると考えてしまう場合が散見されます)、いわゆる正しくないプロダクトアウト、思い込みの強い起業家によく観られる現象だと思います。つまり、自分たちのニーズを満たすために、

この世に存在しない自分に都合の良い顧客を発明してしまう

ということです。問題は結構優秀な人もこの罠にハマっている気がします。なぜなのか。一ついえるのは感情ですね。何か事業とは別の理由があり、その感情で頭が支配されてしまい、冷静な判断ができない状態ともいえるでしょう。例えばサンクコストの罠はわかりやすいですね。他に、何か自分がトラウマに思っているもの、過去の悔しい想いなど、自分のあるいは自分たちの組織の内面的・内部的な問題を解決したい一心で感情で支配されてしまい、冷静さを失って存在しない顧客が発明されてしまっていると思えるのです。

この今は狂っているが正しいアイデア(それを購入するであろう潜在顧客)と感情に支配されることで「この世に存在しない自分(自分たち)に都合の良い顧客を発明してしまう」事の違いを冷静に考える必要があります。

When dealing with people, let us remember we are not dealing with creatures of logic. We are dealing with creatures of emotion, creatures bustling with prejudices and motivated by pride and vanity. 人間は論理ではなく感情によって動かされる。偏見や自尊心、虚栄心によって行動しているとして扱うべきである。 by デール・カーネギー

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