01Blog / 結局、泥臭い営業がスタートアップをスケールさせる

投稿者:Goda George
2016/04/26 00:50

創業者は常に前向きであり、強く、魅力的であることを義務付けられています。いわば確信犯なのです。by Hideto FUJINO

創業者の話は「何を伝えたのか」という視点で聞くべき

藤野さんのスリッパの法則の一文を冒頭に引用しました。これは非常に含蓄のある言葉だと思います。経営者、特に創業者の話はその人が「何を目的に」「何を伝えようとしているのか」という視点で聞く必要があります。また、聴衆側も聞きたい話を聞きたいのです。

もう一点、急成長を目的としたスタートアップではある程度「狂った」ところが必要になります。

「いや、たまたま縁があって、このサービスを創って、毎日、営業に行ったらある時、売れて、後は、真面目に働いて・・」

こういう話がお好みの人も居るでしょう。しかし、多くの聴衆はドラマが聞きたいのであり、ミラクルを聞きたいのです。ある程度、様々な起業された人を見ていくと、なるほど、この人はこう言っているが実際にはこうなんだなぁと分かるようになってきます。

聞きたい人と言いたい人のジレンマ

ジョブズさんで有名な「現実歪曲空間」があります。つまり、聴衆は武勇伝を聞きたいし、創業者は目的があって話すのです。泥臭い営業を真面目にやりました。という話が好きな人も居るでしょうが、胸躍る冒険劇を求める人、話したい人の組み合わせでは、間違ってはいないかも知れませんが、現実とは当然離れます。

この結果、成功者の話からは学べることは少なくなると思いますし、それを正しいと思ってしまっている人(特に起業経験の無い方)のアドバイスはかなり起業家や新規事業をミスリードしているケースを結構見てしまいます。

日本の好きな情緒「お天道さまは見ている」を忘れよう

多分、日本が好きなのは「良い物を創れば」顧客は分かってくれる。というものではないでしょうか。ある、日本でも沢山活用されている米国の有名なIT系の企業のCEOが来て話している講演を聞きました。その人は確か、

「プロモーションなんて関係ない。良い物を創れば売れるんだ!」

と主張しておりました。まさに、モノづくり・クラフトマンシップ・職人的気質の日本の多くの人には堪らない殺し文句でしょう。しかし、別の人から、その会社は非常にマーケティング・プロモーションを頑張っているという話を聞いたことがあります。私は特にそのCEOが悪いとは全然思いません。創業者はそうではないとならないと思います。実際に多くの人が喜んで使ってくれているのですから、サービス自体は良いできだったと思います。

そんな中であるStartupの若いCEOがプロダクトを磨けば自然と売れると頑なに話すのを聞きました。いや、プロモーションはという話をしましたが聞く耳を持ちません。私のメンタリングポリシーの一つは「自分の考えは率直に伝えるが無理強いはしない。何故なら彼らの人生だから」です。結果的に、それからしばらく経った後、そのスタートアップは幕を閉じることになりました。

サービスや製品が良いことは重要です。しかし、勝手に売れる未来は無い。つまり「お天道さまはみている」を過度に過信してはならないし、見た目や宣伝(マーケティング)の方が重要だと思うぐらいで良いように思えます。

泥臭いドブ板営業への共感

業種にもよりますが、スタートアップの成功は相当の部分を営業に依っていると思ってます。ある地域のセミナーでスケールしたITスタートアップの話で「実際には相当泥臭い営業をした」と伝えたら、セミナー後に若い起業を目指す人から「やっぱりそうですよね。色んな人が違う(サービスが良ければ勝手に売れる・ビジョンが大切)と言うんですが、実際には営業ですよね」というコメントを貰ったことがあります。続けて「周りの人はそうは思っていないんです」。

特に地域ではこの問題があると思います。人を集めるのは大変ですから、有名な成功者を呼びたい欲望に駆られるでしょう。これはよく分かります。人にもよりますが、本当にそれは地域のためになるのか(聞きたい人と言いたい人のジレンマ)を考える必要があると思います。

当たり前の事を当たり前にできるところが勝つ

良いサービスを創ることは素晴らしい。しかし、多くの場合、スタートアップは泥臭い営業やらいわゆる地道な苦労をできるかどうかに勝敗がかかっている気がします。冒頭に述べたように「ミラクル」は確かに必要なんです。しかし、それはきっと時間配分したら多くて5%ぐらいの話で、その他の95%が地道な努力の積み上げをできるかどうか?だと思います。

この業界に居て思うのは、当たり前の事を当たり前に地道にできる人は実は非常に少ないということです。これは起業の世界に限らず、会社員でも同じでしょう。ただ、会社員の場合は良く揶揄される「印鑑だけ押している」で代表される何もしなくても困らない人も居るし、多くのフローの中で見えなくなっている。スタートアップではそれが如実に出るので、目立つということだと思います。

お気に入りのフィールドオブドリームズ症候群から

作っただけじゃ誰も来ないって「フィールドオブドリームズ症候群」by その1その2

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Goda George
共同代表 取締役:01Booster Inc.

MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計を経て、同社でSwedenの家電大手とのアライアンス、中国やタイなどでのオフショア製造による白物家電の商品企画を実施。村田製作所にて、北米向け技術営業、Motorolaの全世界通信デバイス技術営業を実施、その後、同社の通信分野のコーポレートマーケティングにて全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社に参画、同社Marketing Directorとして主に海外展開、イベント、マーケティングを指揮、KDDIグループによるバイアウト後には、M&Aの調整を行い、海外戦略部部長としてKDDIグループ子会社の海外展開計画を策定、2012年3月末にて退社。現在は01Boosterにて事業創造アクセラレータを運用すると共にアジアにおけるグローバルインキュベーションプラットフォーム構築を目指す。

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