01Blog / 雇用流動性を考えてみる

投稿者:Goda George
2016/05/09 00:51

日本は「雇用流動性が低い」と言われておりますが、実際にはどうなんでしょうか。いやいや、そんなことはないという話もあります。きっと、ある条件の雇用流動性が低いというところでしょうね。私自身は特にジョブホッパーでも無いんですが、結果的に「雇用された」という意味では4社となります。となると、全体として20%の存在ですね(下の図によると)。雇用流動性の低さの問題は様々に取り上げられておりますが、果たして実際はどうなんでしょうか。

男性の半数は1社に勤め続ける

厚生労働省の資料があります。これをみる限り、雇用流動性が低いのは「男性」の「半分」ですね。転職回数自体がこの結果、平均化すると全体として少なくなると。特に最初の数年間(20代)の転職数は男女とも比較的少ないが、それ以上(30代)になると女性の転職率はがぐんと上がると。となると、男性の30代以上の転職率が低いということですね。転職理由は仕事、条件、人間関係ということで、賃金的にはそうでもないと。その代わり、ある程度経つと、賃金、出生に効くので、転職はしづらくなるというところでしょうかね(男性の場合、女性の場合は更に給与・昇進面では厳しくなる)。


出展:http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/14/dl/14-1-3_01.pdf

インセンティブに人間は素直に従うと思っておりますので、この条件では確かに、会社にある程度いたら辞めない(辞めれない)というインセンティブが働くのはそんなものであろうとは思えます。

企業規模別では大手企業(1000人以上)または小さい企業では比較的離職率が低い

基本的に長期雇用と雇用との賃金上昇の傾向は厚生労働省の資料によると特に日本に限りませんがみられて、比較的日本はその傾向が強いというところでしょう。これもなんともいえないところですが、こちらのデータによると、全体的に1000人以上の会社の新卒3年目の離職率は低そうですね。一方で中小企業庁のデータでは、要は2極化という感じですね。小さいところは長く勤めるか、早めに辞めるかだと。


http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h21/h21/html/k3130000.html

つまり、

男性の半分ぐらいの人で比較的大きな企業または中規模以下の会社でずっと居る人が多いというところでしょうね。

給料も勤続年数に応じて上がるので、これもなんとも悩ましいところです。

まとめますと、女性の雇用流動性は高く、男性で、かつ、その半分ぐらいの人は転職を含めて大きく動く、一方、半分ぐらいは流動しない というところですね。

私の感じる雇用の流動する世界としない世界の違い

多分、会社を転職する・起業するという手段以外でも人材がもっとフレキシブルに異動できる社会は望ましいとは思えます。多くの企業の方とお話すると、グループシフトが激しい(会社間、部門間、産業間、地域間を含め非常に交わりが少ない、かなりの人的・精神的乖離がみられる)。これでは確かにイノベーションや新規事業は苦手でしょう。リスク許容度もかなり落ちてしまっているし、人材の活用も低調であることは否めないですね。少なくとも新規事業やイノベーションの世界ではですが。問題は雇用流動性の欠点ですね。

欠点は何か

  • 新卒、未経験者へかなりシビアになる。
  • マニュアル化によってある程度防げるが、人に紐付くノウハウ部分が継続しない。
  • 組織の経済学的な問題が出る。簡単にいえば短期的に結果がでないものへのインセンティブ(社内教育など)が働きにくくなる。
  • ロイヤリティが低くなり、正しい野心が無いと厳しい。人的欠点がもろに出る。
  • 能力格差がもろに出る。
  • 生活は確かに安定しない(安定させようとのインセンティブは働くが)。
  • 人間関係は長期的な付き合いを基本としないので長期では考えられないような仲違いはあり得る。


利点は何か

  • 無用な我慢は不要になる。
  • 生存本能が働くので常に向上しようという考え方は持てる。
  • スタートアップには向いている。チームアップでは目的に沿った人を集められる。
  • 少なくとも、イノベーションや新しいことは圧倒的にやりやすい。


さて、そうはいっても、雇用を流動させるのをある日突然変えるのは難しいし、欠点もあります。いつかはなるでしょうけど、リストラでどかっと変えるのもあまりにも用意が無い状態となりますね。もう少し次善策は無いでしょうかね?

いずれにしろ、あまりにも会社間・産業間・場合により部門間でさえ、乖離が激しすぎる場合をかなり見るので、コミュニティを超えた共創を含め、様々な仕組みが必要にはなるでしょうね。今こそ、ダイナミズムが日本に必要です。

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Goda George
共同代表 取締役:01Booster Inc.

MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計を経て、同社でSwedenの家電大手とのアライアンス、中国やタイなどでのオフショア製造による白物家電の商品企画を実施。村田製作所にて、北米向け技術営業、Motorolaの全世界通信デバイス技術営業を実施、その後、同社の通信分野のコーポレートマーケティングにて全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社に参画、同社Marketing Directorとして主に海外展開、イベント、マーケティングを指揮、KDDIグループによるバイアウト後には、M&Aの調整を行い、海外戦略部部長としてKDDIグループ子会社の海外展開計画を策定、2012年3月末にて退社。現在は01Boosterにて事業創造アクセラレータを運用すると共にアジアにおけるグローバルインキュベーションプラットフォーム構築を目指す。

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