01Blog / 日本の研究開発が抱える大きな問題

投稿者:Goda George
2016/06/18 00:24

様々な会社の方々と話をしますが、研究部門の課題はどの業界でも細かい差はありますが、概ね一緒だと思います。小生自身が研究所出身であることもあって、なんとも分かる部分です。

セキュリティが研究所を市場から切り離す

競合には秘匿は重要だと思います。しかし、本来は研究部門からある程度新しいネタが出てくるという感じでしょうが、セキュリティがどんどん厳しくなって自分たちが情報を出せないのに、向こうから情報が来ることも無くなって、市場から遠くなっている気がします。その結果、やりがいという点でベテランが大きくMotivationを落としてしまっているという例を良く聞きます。

また、そこまで大切にしているものも、業界が変わればなかなか興味も持たれないのも現実です。自分(自社)の大切にしているものが本当に社会にとって価値が有るものなのか?これはたいへん大きな問題です。

異動が少なく、考え方がある方向に固定化されやすい

研究所は人にも依るでしょうが居心地は良いかも知れません。納期やスケジュール、売上目標に縛られる事業部に比べて目標が緩くなる傾向にあるかと思います。この結果、必ずしもやらないとならないというタスクが全てではなく、余裕は出ます。また、一般的に研究は積み上げが必要なので、異動が少ないと思います。これらを加味して、市場から離れてしまう習性を考えると、ある方向に皆の考え方(コミュニティ)が固定化されてしまいます。研究自体はどんどん要求を高めていけば無限に続きます。人付き合いも個人で気をつけていなければ狭くなってしまいます。

誰もが変化をそこまで好むわけではない。そうなると、極端に大きな行動に出る人は少なくなるかも知れません。

技術はビジネスではない

技術はパーツであってビジネスではありません。例えば、大きな容量を持った記憶素子の技術があると。これをビジネスにするためには、規格の統一、それを作ってくれる先、周知、顧客教育など様々な+αの要素が必要になります。過去にまだまだ製品の品質問題が大きかった頃は「技術 ≒ ビジネス」という時代もあったと思います。ハイテク分野を決して否定しませんが、技術だけでは差別化やビジネスにはなり難い世界になっていると思います。良く使わせて頂いている戦略の階層の図をみると、技術レイヤーは低い階層です。かつ、日本は強いですね。一方で上位の世界観が弱いのが日本ですね。上の方(上位概念)を研究系の方々も更に考える必要があります。

出展 : http://geopoli.exblog.jp/19661333/

本当の顧客との接点が極めて薄い

これはよくあることですが、事業部が顧客になっているケースです。事業部も必ずしもエンドユーザーと接していない(BtoBtoCなどでは)ので、更に研究所は顧客と遠くなります。このため、

本当に自分たちは社会に必要とされていることをできているのか?

という根源的な悩みを抱えている人を多数見ています。

研究所にビジネスモデルを創らせるのはキツイ

研究所から新しいビジネスモデル(ビジネスプラン)を創らせようという話は非常に多くあります。前向きなものと後ろ向きなもの両方がありますが。しかし、これはとても酷ですね。能力はともかく、実業に関しては経験値が少ない素人である人たちにビジネスプランを創らせるのはなかなか難しい。起業側からみるとPDCAを何百回も回しているわけです。仮に素質の差が相当あっても流石に起業家には当初は敵わないと思います。それを評価(叩いても)しても無理があります。

例えば、10億の会社を創る、100億の会社を創るとなれば、一からバイアウトかIPOさせるようなものです。これをいくら優秀でも場合によって経験の無い研究所の人に実施させるのは無理があります。非常に運動の素質のある天才といえども、野球の経験が無ければ、いきなりプロ野球で(だいたいにおいて要求は10割!?)ホームランを打てと言っても流石に無理ではないかと。

でも、本当にこういうことって多いんです

研究開発のあり方そのものを真剣に考える時が来ている

研究開発は会社の将来にとって確かに重要な要素ではあります。今こそ、本当に研究開発のあり方そのものを真剣に考える時期に日本は来ていると思っています。

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Goda George
共同代表 取締役:01Booster Inc.

MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計を経て、同社でSwedenの家電大手とのアライアンス、中国やタイなどでのオフショア製造による白物家電の商品企画を実施。村田製作所にて、北米向け技術営業、Motorolaの全世界通信デバイス技術営業を実施、その後、同社の通信分野のコーポレートマーケティングにて全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社に参画、同社Marketing Directorとして主に海外展開、イベント、マーケティングを指揮、KDDIグループによるバイアウト後には、M&Aの調整を行い、海外戦略部部長としてKDDIグループ子会社の海外展開計画を策定、2012年3月末にて退社。現在は01Boosterにて事業創造アクセラレータを運用すると共にアジアにおけるグローバルインキュベーションプラットフォーム構築を目指す。

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