01Blog / 文明の衝突はうまくいくのか?「ベンチャー買収を考える」

投稿者:Goda George
2016/06/28 00:00

日本ではM&AのGDPへの貢献が米国の1/5程度と低いのが特徴ですね。なかなかイノベーション型(既存市場の破壊・常識の変更)の事業を行う事は大手企業では既存事業が研ぎ澄まされているだけに難しいと思います。

では、ベンチャーをM&Aではないか?となるんですが、M&Aした後に如何にPMI(買収後の入れ込み / Post Merger Integration)をうまく行かせるかが鍵ですが、ほとんどの場合に難しいと思えます。でも、できるようにならないと未来が厳しい。ここでは、ベンチャーを買収した時の問題点(考え方の差)に関して少しまとめておきます。

買われた方は官軍、買った方は下請け

いやいや、そんなことないですよ。となるんですが(実際にそう思っているんですが・・)、買収された側はかなりの勝ち組です。物凄いチャホヤされますし、英雄扱いされます。一方で、勝った側には買い物です。自社のために買収したのであってあまりにも自由にやってもらっても困ります。つまり、買収された側は官軍、それに対して買収側は極論すれば下請けです。この考え方の違いはデフォルトで起こります。

これ本当に難しいです。買収側はなんとか良くしようと思うんですが・・そもそも違うということですね。

買われた方は場合により億万長者

前に半導体系を買収した人が、同じオフィスで働いているが、向こうはフェラーリなんですよね。と言っていたのを思い出します。つまり、買収された側は億万長者になっているケースがあります。文化(というか生き方)はそもそも大きく異なりますよね。つまり、場合により、買収側はお金のために働く必要が無いケースがあるということです。そういう経験をしたことのある会社員の方は少ないでしょう。

全速力で走っていた自転車で壁に衝突したかのようなスピード低下

これは物凄いですね。意思決定はかなりベンチャーは早いですね。規模にもよりますが、社長が決めればいいので、早ければ1分とか、1秒とか(経営者は故意に意思決定しない場合もありますので早くない時もありますが)。それに対し、ある程度の規模の会社では「イレギュラー」な新規事業への様々な意思決定は稟議を回して、、まぁ、すごい早くて半日?相談して数時間?場合により3日とか1週間とか。言い過ぎかも知れませんが、100倍の単位で意思決定のスピードの差がでます。これはベンチャー側にとっては非常に酷です。大企業が悪いのではないんです。一生懸命合わせようとします。しかし・・

どんなに頑張っても差がありすぎるんです。

ベンチャーに社内変革を任せるという勘違い

これはよく分かるんです。「社内は閉塞感があるから、君たちのパワーで是非、新しい風を吹かしてくれ!」なんて、よくありそうな話ですよね。でも、これは相当話が違いますね。それを専門とするコンサルさんとか会社であれば良いかと思いますが、

何かの事業を創るために最適化されている組織は社内変革を行うためには創られていない

ということです。元々、ベンチャーは規模にもよりますが、社内調整などが少ないんです。市場を見ないと潰れてしまうので、意思決定は市場がします。大きな会社では逆の方向ですね。何故なら、社内を口説けばある程度の売れる仕組み(営業・広報等)は既にあるのですから。

これは本当に良くあるんですが、では、ベンチャーの経営者を社長や相当上層部にいきなり入れて、ということができるならそれもありでしょうね。それ以外は相当難しいと思えます。

なぜ、会社のためを考えてやっているのに否定されるんだ?なぜ(急に上になった)あなたに断らないとならないんだ?

というジレンマにベンチャー側は直面します。

そもそもの能力差

企業の人も優秀ですが、既にリソースがあるので、ゼロからイチという経験は実はできません。この経験はカオスを味わうので、企業での新規事業とは根本的に異なります。ベンチャー側はそれを経験しているのと、市場への対話が殆どなので、事業を創るという能力に関してはかなり筋肉を鍛えた状態できます。ある知見や社内人脈(社内での信用)に関しては企業側人材も圧倒する部分がありますが、こと、イノベーティブ型の新規の事業開発に関しては、かなりの能力の差がでます。例えば、すごい野球の能力がある人が居ても、野球の練習である特定の筋力だけを鍛えていた人と、そこまで仮に能力は無かったとしても現場で試合に出ていた人の差です。これは大きい。となると、そのベンチャーを配下に置くということの意味を考える必要があると思います。

ではどうしたら良いのか?「知らないということを知る」

解法は色々あると思います。そもそも異文化を理解できるカタリスト人材を社内で育成しているか?ベンチャーをその意思決定のままP/L(売上と利益)は見るが少し自由に走らせて少しづつマージするか、役職を高く(取締役ぐらいまでは)入れられるかなど。

少なくとも分かり合えるという考え方を捨てて、文化は異なるので分かり合えない、ではどうするのか?という観点で考えるようなパラダイムシフトが必要になってきています。これはM&Aに限りませんが、日本人には足りない事が多い「知らないということを知る」という典型的な問題への対応となります。

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Goda George
共同代表 取締役:01Booster Inc.

MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計を経て、同社でSwedenの家電大手とのアライアンス、中国やタイなどでのオフショア製造による白物家電の商品企画を実施。村田製作所にて、北米向け技術営業、Motorolaの全世界通信デバイス技術営業を実施、その後、同社の通信分野のコーポレートマーケティングにて全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社に参画、同社Marketing Directorとして主に海外展開、イベント、マーケティングを指揮、KDDIグループによるバイアウト後には、M&Aの調整を行い、海外戦略部部長としてKDDIグループ子会社の海外展開計画を策定、2012年3月末にて退社。現在は01Boosterにて事業創造アクセラレータを運用すると共にアジアにおけるグローバルインキュベーションプラットフォーム構築を目指す。

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