01Blog / アイデアに価値はない「そのアイデアは見つけたものなのか?」

2016.09.17

Google創業者が「アイデアに価値はない」と言い切るワケ という記事がウケてますね。アイデアが完全に無価値だとは私も思わないのですが、何か銀の弾(何かを劇的に変えてくれる魔法のような方法やアイデア)があると思っている人がまだまだ多いのも事実です。それは違うという点では非常に賛同できる意見です。

ここでは、アイデアが重要、アイデアには価値がないという混同した中で何が正しいのかをまとめてみます。

実際にはどんな感じなのか

起業される人、既にされている人、会社内で新規事業を考えている人、それを支援している人、様々な人とディスカッションします。その中でこんな会話が出てきます。

  • 良い発想が出てこない、ウチの社内からは良いアイデアが出てこない
  • アイデアを話すのは良いが盗まれる(関連記事
  • そんなものはウチでも思いつくはず、過去から考えていた(例えば、ベンチャーのプランを見て誰かが)
  • 良いアイデア(ビジネスプラン)が思いつかない
  • 良いアイデアを思いつかないので起業できない

・・などなど。さて、実際はどうなんでしょうか。幾つかの要素が混じっていそうですね。

まず前提として初度のアイデアはどれも大したことない

これは様々なところで聞かれます。「社内から出てくるアイデアで全然良いものがない」、「ビジネスプランコンテストを聞きに行ったがどれも大したことない」、「なんだよ、あのビジネスプランは!?」こんな具合です。私自身もそう思ってました。問題はこの前提です。多くの場合、これは共通認識ではありません。

そもそも、どんなに優秀な人でも最初にスタートする・考えつくアイデアはボロボロが当たり前である

私も過去にバイアウトした優秀な人の次のプランを聞いて、なんだこれ?と思って、この実は多くが認識していない当たり前の事に気づきました。つまり、初度のアイデアはそもそも大したことないのが当たり前だということです。

アイデアの発想が広がらない

これは、企業内で飛び地、つまり、破壊的イノベーション型の新規事業を考えているときに良く聞かれます。ここでの問題は二つです。

インプットが少なすぎる

例えば、R&Dの人に全く関係ない事業プランを考えるような(個人的には視野を広げるという意味では賛成ですが、実際に動かすというのであれば大反対ですが、往々にしてこういうことが世間では起こります)ケースです。そもそも、アイデアは組み合わせです。

弱い紐帯の強みが活用できていない

人は過去の経験や現在の業務、自分のコミュニティで恐ろしいほど影響を受け、考え方がシフトしています。問題は自分の考え方が偏向していることを自分では理解できないんです。何故なら、固定概念とは気づかないから固定概念なので。

とにかく、ダイバーシティ・弱い紐帯・インプット・自分自身がもしかしたら間違っているのでは?と常に疑うこと。これらが無くては、アイデアの発想は広がらず、企業の場合、自社製品やサービスとなんらかわないものとなります(破壊型イノベーションを求めながら、逆に破壊型イノベーションは社内起業では採択されにくいというジレンマはありますが)。

そのアイデアは見つけたものなのか?

このY-combinatorのポール・グラハムの言った言葉に全てが集約されております。結局、「良い」アイデアは実行の向こう側にしかないのです。Amazonは最初は本の電子取引でしょう。これはこれで創業当時は凄かったのかも知れませんが、その後、AWS(Amazonのクラウドサービス)という「アイデアが見つかり」、ロケット、そして、現在のECは誰もが追いつけないようなレベルまで崇高になっております。

これらは全て実行によりアイデアが磨かれたからです。そもそも、ビジネスモデルというか、施策は10回やって1個あたるような試行錯誤が必要です。最初から下手に当たったら、その後が大変です。真値ではないからです。

良いアイデア(最初の仮説、あるいは、実行後だとしても)は弱い紐帯やダイバーシティ、インプットを増やさない限り出てきません。それが最初の一歩、次に、そもそも、例えばシリアルアントレ(連続起業家)のような場合でも、どんなに優秀でも最初のアイデアはボロボロであること。しかし、それに実行が加わることで誰も追いつけないような崇高なアイデア(ビジネスモデル)に昇華されるのです。

アイデアに価値はありません。アイデアに命を入れて、真の価値を出すためには極めて多くの行動(銀の玉ではなく、銅の玉を打ち続ける)が必要であり、多くの行動によってアイデアという原石は磨かれるのです。

さぁ、考えてから行動するのではなく、行動した結果を見て考える方向に変えていきましょう。

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