01Blog / ベンチャーで学べること

2016.11.08

大手企業社員に劇的変化を起こす01Boosterのベンチャー留学」という記事がASCIIで出ました。ベンチャー留学といっても様々ですが、1年間社員をベンチャーの創業に近いところから(つまり、ゼロがイチになる前の状態で)ベンチャー留学させた森永製菓さんの英断(ベンチャー留学の沢田さんの記事)は日本を良い方向に変えるものだと思っております。

さて、私自身はベンチャー留学をしたわけではないですが、大手企業からゼロからイチになる前のベンチャーの創業からバイアウトまで携わらせてもらいました。その経験も踏まえて、果たしてここで「学べる」事はなんなのかをまとめておきます。

※ スケール型スタートアップを目指す場合のケースです。

圧倒的なスピード感

これは「圧倒的」です。スタートアップはとにかく早い。1週間で状況がコロコロ変わります。まさに朝令暮改の世界です。ある人は一般企業の600倍と言ってましたが、そこまでは思わないものの「圧倒的」という表現が正しいです。例えば、意思決定は社長と話して1−5分です。一方、会社ではこうも行かないでしょう(鶴の一声もあり得ますが、細々なものまでそうは行かない)。

物凄いスピードでの市場理解

これは凄い進みますね。簡単に言うとスタートアップは「物凄く困っている」んです。「物凄く困っている」とは、生命の危機とまでは行かないかも知れませんが、それに近い生存本能ギンギンで動きますので、とにかく、市場の理解は凄い進みます。勝てる起業家はPDCAを回す行動力とその客観的評価の能力でかなりの部分が決まりますので、市場の理解は本当に進みます。

The カオス

多分、これが一番、ゼロからイチになる前の工程では大きいですね。「正解が無い」というのは言えば簡単なことですが、生命のキケンに晒され、そこで味わう「正解の無さ」というもの、そして、どんな事業も2年ぐらいはかかりますので、これが相当長い時間続くのです。まさに「疑心暗鬼」・「衝突」・「葛藤」です。そうです。

毎日が夏休みという眠れない地獄

とまでは、起業家側に回らないと味わえないですが、それを間近で見るという感じですね。そして、自分自身がその「主体者の一員」である必要があります。

非言語・よくわかないものを言語化していく工程

これが重要です。

広がるネットワークと真の人の姿

会社の中でもお客様を含めて様々な人に会いますし、趣味の世界でもそうだとは思います。ゼロからイチ段階のベンチャーでは完全な探索型のネットワークになりますので、とにかく、極めて多彩な人に(極端に人付き合いをしない人では無ければ)会います。相手にとってこちらはどこの馬の骨という感じなので、人に会うためには情報開示やGiveが必要です。できる起業家こそ戦略的にGiveをしてきてTakeだけということは非常に少ないですね。これもとても重要な要素です。

我々は生かされている

を体感するところです。また、相手は自分の肩書で当然見てきますので、様々な人間模様を内部に外部に楽しむ(?)ことができます。人間とはこういうものなのか?!と。

かっこいいものではないが

と、かっこいい活劇ではないですね。惨めで泣きたくなる日も多いでしょう。自分が無価値に見え、とても小さく、何のために存在しているのかさへわからなくなります。それがいいのです。その経験は多分、経営者になるためにとても必要なものだと思います。

勧めるわけでもないし、あくまでベンチャー企業は生存競争ですので「お勉強」という形では辛いですが、カオスを味わうという経験はどのような形でもキャリアという人生の中ではとても素晴らしいものであると思います。

必死に生きてこそ、その生涯は光を放つ。 Nobunaga ODA

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