01Blog / 研究・技術開発はイコール新規事業でもイノベーションではない

2017.04.25

「イノベーション=技術革新」という認識が、イノベーティブな企業を窮地に陥らせる理由」という記事が公開されました。

私は強く言いたい。なぜなら自分がそう思い込んでいたからです。

技術革新はイノベーションではない

と。この呪縛が解けるのに16年の歳月がかかりました(私事ですみません)。

混同する様々な概念

多くの大学関係者、企業の方、ベンチャー企業や起業家の方と話していて思うのは「研究・技術開発」「新商品開発」「新事業開発」「イノベーション」が同じようなレイヤー(同じような・類似したような意味)で語られていることです。

もっというと、「持続型イノベーション」と「破壊型・逸脱型イノベーション」(参照「「イノベーションのジレンマ」の大誤解~なぜ既存企業からは新規事業が生まれないのか」)「オープンイノベーション」と「クラウドソーシング」も同じように思います。それは「オープンイノベーション」や「コラボレーション」ではなく「アウトソーシング」ではないか?というイメージです。「"真のチーム”がないから、日本は勝てない」にここらへんの解説がありますね。

商品開発も研究・技術開発も新規事業の一部であり、全部ではない

これはWikiでビジネスモデルを引いてもらうと・・

ビジネスモデル(business model)とは、利益を生み出す製品やサービスに関する事業戦略と収益構造を示す用語である。

とあります。つまり、商品開発自体は新規事業(ここではビジネスモデルと同義と定義しましょう)ではない。もっというと、中にはビジネスモデルの中での影響度の大きいものもありますが、研究・技術開発は製品やサービスのこれも一部です。

このような誤解があるので、他の部分に関しての重要度が全然ないケースが有るのです。研究・技術開発が全てだったり、新規事業=新商品開発となっていたり。これでは、上位概念(VISIONやルールレイヤー)で抑えてくる欧米にまず勝てません。。

イノベーションと技術革新

イノベーションは本来はルールを変えるようなものでしょう。さて、これを、クリステンセン的に逸脱型(Disrupt)イノベーションと持続型イノベーションに分けた場合。実は、持続型イノベーションの中に「技術革新」はあると思うのです。例えば、新しい技術により画質を劇的に良くしたとかそんな話ですよね。そこまで厳密に考えなくても、中にはそれが市場やルールを変えるものもありますが、逆に、変えないものもありますね。言いたいのは「そこ」です。厳密なイノベーションの定義がどうの、というよりは、「技術革新」をすることがイノベーションであるという誤解で、やたらと技術の地位が高い。別に低いとも思ってませんが、技術偏重主義では、大切なものを見失うと思うのです。技術は手段に過ぎません。

ここに「起業における「自立」とは頼れる人が沢山いること」で記載した通り、なんでも自分でやるということで、研究者に事業プランを考えさせて、事業を起こさせるというところまで話が進むのですが、できないとは思わないですけど、餅は餅屋ではないかと。。

このような多くの誤解が日本の新規事業の停滞をもたらしている気がしております。飛躍しますが、やはり現場で戦った事業家がこの国には今は少ない。もしかしたら、起業の方向(起業しないまでも、スタートアップで働くとか)に多くの人が行くのがその解法なのかも?とは思います。

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