01Blog / 起業における誤解を解く「安定を求めるから起業する」

2017.04.15

起業というものは物凄く誤解されていると思います。その一方で「OECD事務総長が語った日本の課題は「生産性」「財政」「起業」…」でOECDの事務総長が語るように日本の一つの課題は起業の少なさです。起業が少ないから当然物凄く誤解されているように感じてます。

アクセラレーターで一部上場企業出身者の比率がもの凄く高いので、本来は大手にいた人が如実に起業に向かう人が出てきているのは実感しますが、まだまだ少ないのです。個人事業主、中小・零細も含めて開業が少ないのです。

70%以上が起業家で運用される世界のアクセラレーター事情

世界最大のアクセラレーターの業界団体である「Global Accelerator Network」によるとアクセラレーターの70%は起業家で運用されております。これは実際に彼らの総会に行くとわかります。主軸の経営陣はともかく、運営者はバイアウト組の「骨休め」の意味合いが近いですね。必ずしも起業している必要は無いとは思うのですが(シリコンバレーの著名アクセラレーターの運営者も起業家ばかりではない)、日本は起業家の「比率が少ない」のが問題なんです。そうなると、60−80%は確かにそうなんだけど、20−40%ちょっと感覚が違うなー?という感じです。

以下に、起業における誤解を私なりにまとめてみます。

都合の良い起業家像が望まれている?

創られた「起業家」」の論文にあるように・・

日本において政財界が要請してきた「起業家」とは既存の「企業社会」のために存在する「都合の良い協力者」に過ぎなかったのである

という物差しがあるのかも知れません。社会に貢献したいとは当然思う人が多いでしょうが、我々はそもそもなんのために起業するのでしょうか?

もしかしたら根本の部分で曲がっているのかも知れません。

起業はつらいよ!?

実はスタートアップはそこまで忙しくない?」にも書いたように、そんなに忙しいかなー?あと、これも個人の感覚に依るんですけど・・単純に・・

最高に楽しい

ものだと思いますが。確かに、辛いことはあるだろうけど、それは何やってても同じではないかと?

リスクが高い?

そうなのかなー?もちろん、ローンとかたくさんあったらキツイですけど。後で書きますが、生きていけるし、そもそも「起業における「自立」とは頼れる人が沢山いること」に書いたとおり、やり方と人望にもよりますが、リスクを下げる(安定を求める)ために起業すると思うのですが。

スタートアップじゃなきゃダメ?

日本の特徴かも知れませんが「スタートアップ(急成長型)」ではないといけないという考え方があります。一方で、急成長型を模索すると言いながらも特に地域では「スタートアップを実質阻害する」流れもあります。要は多様性が無いんですね。先日、起業で有名な東海岸のビジネススクールを出た人に聞きましたが、日本は「スタートアップではないとならない」という風潮があるということです。このスクールにならって重要な点は・・

  • 己が何者で、何を目指すのか?
  • 行動すること

です。なので、卒業生は北米でお好み焼き屋をやっていたり要は「己の成すことを」「行動する」のです。日本の場合は、大きな事業を目指さないと「ならない」のか、大きな事業は「やめろ」なのです。自己実現をすることファーストが重要ですね。

確固たるやりたい事が無いと起業できない?

「確固たるやりたいものが見つからなくて〜」「そういうのがあれば起業するんですが〜」というのは非常に良く聞きます。別に起業が偉いわけでも無いですが、たいていやりたいと最初に言っていたことと実際に後でやっていることとはほぼ200%変わるので、「確固」たるやりたい事がないと起業できないとは全然思いません。結構、ふわふわ皆さんしてますし。

かく言う私も、ぜんぜーん、起業する気もなかったし、そろそろ、自分も起業家と名乗ってもいいんじゃないか?ちと、気恥ずかしいな?というレベルです。

生きていけない!?給料が出ないのが辛いのは分かる?

給料が出ない、最初に売上が立たないというのは結構、想定よりも辛いです。なので、2年ぐらい暮らせるように貯金しとくか、発注貰えそうなところを想定の5倍ぐらい集めておくかですね。

なんというか、感覚って分かってそうで、過去に引っ張られるので、会社員の頃のように高いオフィスにしたりとか、レストランやるのにやたらと初期費用をかけたりとか、いわば、コスト感覚がずれている問題が一番多いですね。聞いていると。つまり、想定よりもずっと稼げないんだから色々固定費や初期費用抑えようよってところです。

但し、セキュリティネットは結構しっかりしてて、色々、ラーメン代稼ぎができたりします。なので生きてはいけますが、ラーメン代をくれるのは「全く別の人脈」になるので、起業系に人脈を作っとく方がベターですね。とにかく、半年ぐらいは様々な人にあった方がいいかもです。

3年ぐらい給料が無かったのは辛かったし、今でも入社5−6年目の水準ですが、まぁ、生きてはいけますね。

一つだけ、繰り返しますが・・

結構生きていけます

起業は止めるのはたいへん?

流石にこれだけいろんな起業家と話していると失敗する人もいます。多くの場合、止めるというのに時間がかかりますね。「降参!」しちゃうことです。これは、起業する前と起業した後が全く異なるのと同じで、止めた後のことを止める前に想像できない、あるいは、想定できないんだと思います。

かく言う私も2012年から創ったチームは12個、ウチ、数個は残って、自主的にうまく行っているのが2個(ノボット社と01Booster)ってところですね。止めたのもありますが、止めたら止めたで肩の荷が降りた気分です(会社名も思い出したくないが笑)。

多少は色々言われるけど、解散してもそんなもんです。人は人なので。また会社員に戻ってもいいですし、また充電して再チャレンジです。

日本の社会は失敗に寛容じゃない?

これはそういう側面もあるんでしょうけど、そうなのかなー?失敗に寛容じゃないとみんなが言っているだけだったりしませんかね?ある程度、成功した人に聞くと、何個も失敗してますね「あー?あれはあの人とやったけどうまくいかなくてー?」とか。多大な借金を抱えたらともかく(そもそも融資してくれないけど)でも、失敗の後に成功している人はだったらなんで存在する(というかそういう人ばっかり)のだろうか?

能力がないと起業できない?

これはスタートアップ(急成長を狙う)ならそうですね。プロ野球の選手のようなイメージ。特に、個人事業主が楽なわけでもないですが(今はそれですらうまく継続できない、事業リテラシーが落ちていることの方が問題!)、能力というよりは「勘違い」の方が大きいような。。「自分は(実際よりも)実力がある」とか「お金は(実際よりも)もらえる」とか、とにかく、勘違いの方が圧倒的に起業の妨げになっている気がします。この大きな理由の一つはとにかく、起業(開業)している人が少なく、責めるわけではないんですが、事業そのものに関して未経験者が逆に圧倒的に多いので、その言うことがちょっとズレている方が大きい気がします。

自分が社長じゃなきゃダメ?

少なくともスタートアップは「チーム」で行うので、一人ではないという当たり前のことですね。なので、自分がCEOでもCOOでもなんでも創業メンバーだったり、それに近いところで、要するに「事業を興しやすい」小組織に居ることが肝要に思えます。ダメなら、譲ればいいんです。

かく言う私も、CEOやったり、こりゃ無理だと思って辞めたり、してますね。要は、事業が興せればいいんです。「変に起業したんだから!」とかなんでそんなことに拘るんだろうかと。

貯金が無いと起業できない?

あ?これだけはそうかもです。但し「なんでも自分でやる」ということ自体が勘違いな気がします。自分の許容度に応じて動けば良いのであり、しつこく、要は「事業を興せるチームに居ることが重要」なんだと思うのです。

結局のところ「コダワリ・誤解・勘違い」が大きい

起業している人が物凄くマイノリティーの日本では起業そのものが何か相当特別なものになってしまっている気がします。起業大国のイスラエルなんて、会社員とスタートアップ(起業)をバンバンスイッチしてました(日本ではこれは難しいかも知れないですが・・)。少なくとも60%が何某かの事業を営んでいた1950年代。我々は今一度、「勘違いしているかもしれない」と自分が思い込んでいることが、本当なのか?と問うてみる必要があると思います。

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