「「イノベーションのジレンマ」の大誤解~なぜ既存企業からは新規事業が生まれないのか」が多くの共感を呼びました。これは皆、何か、イノベーションという言葉を聞いて、実際に多くが感じていることと、実際に起こること、上司や周りに言われることと、大きな違和感があると感じているからではないでしょうか?
イノベーションというと?
これは本当に良くあることなんですが、イノベーションを「何か物凄いもの」何か「物凄い技術で世界を変えるようなもの」と多くの人が、かつ、かなりの上の人までそう思っている気がします。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?
イノベーションを「技術革新」という誤訳が招いた悲劇
1958年の経済白書がイノベーションを「技術革新」と誤訳しました(様々な指摘、その1、その2)。
研究者の人は何か、物凄い技術的発見があって、それが世界を変えるという「ロマン」は好きでしょう。しかし、技術革新も市場と結びつかなければ一つの発見で終わってしまいます。
簡単にいえば、イノベーションは仮に「技術革新」が「市場」に結びついて市場のルールを変えてしまったとしたら、それはイノベーションでしょう。イノベーションを定義したシュンペーターさんの話しでも、新結合などの言葉を使っております。
つまり「技術革新」がなくても、ルールを変えるようなものがイノベーションです。そうなると「何か凄いこと」という文脈でイノベーションを考えている人(組織)にはイノベーションを起こすことは極めて難しくなります。なぜなら、あまりにも多くの場合、それは些細なことから始まるからです。
外来種などは例としてどうでしょうか?
外来種を考えてみてはどうでしょうか?ある生態系ではOne of Themなんですが、全く違う生態系に来たら猛威を振るうというものですね。ある、生態系では当たり前で、目立たない存在です。それを持ってきても、
「そんなの見たことある」「他でやっている」「前に検討した」
となるでしょう。多くは確かにそうなんですが、たまに猛威を振るうものがいるわけです。これを後で気付いたら、「なぜ思いつかなかったのか?」「誰でも思いつくはずだ」「考えたことがあった」となるでしょう。
我々は、今一度、イノベーションそのものへの固定観念を取り外すこと、また、技術革新はイノベーションではなく、一つの要素に過ぎないことを自分たちに言い聞かせる必要があります。