社内起業の社会的な価値はなんなのか?

投稿者:Goda George
2019/02/17 00:00

起業家と社内起業家がわかり合うことは「感情的に」難しい?

このところ、ずっと、考えてきたことがあります。

社内起業の社会的な価値はなんなのか?

・・・です。私は起業側の人間です。客観的にみて様々な障壁に直面する正しい社内起業家をみると「起業した方がいいじゃないか?」と短絡的な思考回路を持ちます。愚痴をいわれたら「こっちは3年無給でやったんだ!甘すぎる!」と感情的になるのも否めません(申し訳ない・・)。また、ここ1年ぐらい、多くの国で起業家に対して「社内起業家」のことを聞いてまいりました。反応は本当に似ていて・・

言っていることはわかるけど、そんなことするの?

です。逆に社内起業家にも色々聞いてみました。これもあんまり反応が変わりません。

自分は起業するよりも、会社内の方が活躍ができる

という感じです。生活の問題、時間の問題など色々あると思いますが。特に能力的に起業も問題なさそうな人たちでしたが。極論すれば起業家と社内起業家は感情的に分かり合うのは難しいということです。なので、感情を一回、向こう側に追いやって客観的に考える必要があります。

社内起業の成果は?

様々な軸があると思います。ここは社内起業の社会的成果(雇用・経済貢献など)がどうなのか?ということにあるとしましょう。起業は良いかも知れないが、新しい雇用、新しい社会貢献が全て起業家によるものだったら、社内起業家に意味はありません。では、実際はどうなのでしょうか。あくまで「日本」をベースに考えます。よく参照される米国は「クラッシュアンドビルド」の感覚が強いように思えて、参考にならなそうです。

日立製作所、全日空、楽天トラベル、トヨタ自動車、日経新聞・・・

これらは全て一つの社内起業の形です。ちなみに、イントラプレナーの話ではSONYのPlaystationや3Mのポスト・イットの話がよく出てきますが、そのレベルではない企業群ですね。ちょっと異なりますが・・

星野リゾート、ユニクロ・・・

これらは第二創業系です。全くの社内起業ではないかも知れませんが、全くのゼロからではありません。起業では楽天、ソフトバンクなどあるはありますが。一ついえるのは・・

近代の少なくとも日本の経済において社内起業または第二創業の果たした役割は小さいとはいえない(むしろ大きい)

ということです。

出発点に立つ重要さと企業文化

様々な企業で問題になるのは社内起業の規模感です。極めて大きな規模を求められますが、実際には全然そんなことは難しいです。この結果、「社内起業プログラムをたくさんやってきたが全然駄目だ」となるのではないでしょうか。では、何が?

先日、ある調達までした社内大型起業をしているアトツギ系の方とお話しました。一般的に、中小企業で新規事業(特に構築型イノベーションかラディカル型イノベーション、簡単にいえば会社の構造的に得意ではないもの、または全くの飛び地)で問題になるのは、確かに動きは大手企業に比べて早い・軽いかも知れませんが、先代からの人員(または先代の社長)が新しいことに大反対すること、また、新しいことをやろうとすると、究極には人員が完全に入れ替わることなどです。

ただ、そのアトツギの方は全く反対はなかったとのこと。私は思いました「そんはなずはない」と。色々聞いてわかったことは、先代の社長が200個ぐらい新しいことをやってことごとく失敗、残ったのは10個程度(5%の成功率なので逆に悪くないスコアですが)。

なるほど、企業文化か

と思いました。そのようなことが当たり前だったんです。

シナジーという「幻想」

MBA系の人は「コングロマリット」といえば、かの有名な「コングロマリットディスカウント」を思い出すのではないでしょうか。簡単にいえば、印象が悪い。そこで、きたー!というのが下記のHBRの論文です。

Why Conglomerates Thrive (Outside the U.S.)

アメリカ以外ではコングロマリット上手く行ってますけど、というものです。これは日本でもよくみられて、地域ではガソリンスタンド、飲食店など脈絡のないことをやっているコングロマリットが繁栄しております。上記の論文ではコングロマリットが悪いのではなく、コングロマリットの運営の仕方が問題だったといっております。

スタートすることが重要ではないか?

私は社内起業プログラムで大きな事業がそんなに出てくるとは思いません。しかし、その活動自体(実際にスピンオフとかしないで教育しているだけでは駄目ですが)は新しいことを行う文化をつくります。そのような過程で、かつ、シナジーやカニバリといったことを無視した活動の中から先に述べた極端に大きな(結果的になった)企業体が出てくるのではないでしょうか。下記のような会社を想像してみてください。

  • 新しいことを行うことが素晴らしいと皆が思っていたら
  • 新しいことを行っている人が楽しそうだったら
  • 新しいことを行う人をマネージメントが阻害しなかったら
  • シナジー、売上規模、カニバリなどで物事がストップしなかったら 。。。

私が思うのは「スタートすること」「行動すること」が重要だと。第二創業系ではそもそも経営すると思っていなかった人が経営するケース(スタートする)、社内起業では業務で「発見した」事業が多いでしょうから、先に上げた大型の事業は「シナジー」に問題があったので、切り出して実行されました。

「ロンドンでは起業家はロックスターだ」とUKの教授と面談したときに教授がおっしゃってました。これは逆にいえば、誰もがロックスターになれるわけではないとも考えられます。つまり、起業は勝率が低いんです。特に大きなものは。

起業は確かに一つの形として必要ですがなにせ勝率が低い。あと、なかなか止められない。最大の問題は失敗したらまだいいのかも?ですが、成功したら、起業家か投資家(≒支援者)しかキャリアがないかも知れません。そうなると、様々な形でゼロからではない「社内起業(この場合第二創業系もその一つ)」の活性化が今の「日本(と、多分アジア)」には重要なのではないでしょうか。

こんなことを最近考えていました。

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Goda George
共同代表 取締役:01Booster Inc.

MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計を経て、同社でSwedenの家電大手とのアライアンス、中国やタイなどでのオフショア製造による白物家電の商品企画を実施。村田製作所にて、北米向け技術営業、Motorolaの全世界通信デバイス技術営業を実施、その後、同社の通信分野のコーポレートマーケティングにて全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社に参画、同社Marketing Directorとして主に海外展開、イベント、マーケティングを指揮、KDDIグループによるバイアウト後には、M&Aの調整を行い、海外戦略部部長としてKDDIグループ子会社の海外展開計画を策定、2012年3月末にて退社。現在は01Boosterにて事業創造アクセラレータを運用すると共にアジアにおけるグローバルインキュベーションプラットフォーム構築を目指す。

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