【01Blog】企業がStartupとの付き合いで気をつけること(2)「カオスとアイデンティティ」

2013.10.28

前回、企業と起業(独立)の違いとして給料をもらっているかどうかに関してブログに記載した。あまり上手い文章では無いにかかわらずお読みいただいた方には深く感謝です。 さて、企業で新規事業(社内起業)をする場合、いずれにしろ、その会社名の元でやるか、子会社的な立場でも「どこどこの100%出資の」と親会社とのつながりを持って事に当たることができる。これは社内起業を実施している時には(例えば親会社の競合への営業など)時にありがたくないこともあるのであるが、起業(独立)と比べると信用問題や、アイデンティティという面では大きな差がある。というか、まったく異なる。よほど有名な人や、今まで携わって来た業界でそのまま独立・起業する場合は別として(逆にこのようなパターンでは成功が多いという話も別のブログで記載があった)ほぼ無名のスタートとなる。 この場合、問題になるのが、一つは「カオス」、それが儲かるか、継続性があるか、経験があるか?は別として、ケニアでコーヒー豆を栽培しても良いし、地方再生でも良い、ドバイで高級商材を販売しても良い。時に人はそんなやったことも無い業界で成功するのか?とアドバイスや心配という名で意気消沈させてくれる。要するに何をやっても良い中で成功するかどうかもわからないものにチャレンジする。また、今日は寝ていてもいいし、寝ないで働いても良い。コアタイムは無いし、通勤しなくて良いのだ。言わば毎日がスーパーフレックス。お金が入ってくるのもサービスが回り出すのも先であるので、そのものが良いか悪いかはその時はわからない(あるいはピボット:ビジネスやサービスを変えることは当たり前にあるので先になるまで自分達のサービスがなんであったのか分からないかもしれない)。 自由というのは良い物に思えるし、会社で言われたことをやるのはありがたくないように思える。ただ、この「カオス」の中に入ると、企業の中である程度枠が決まって、業態も決まって、場合によっては指示されて、それに文句を言いながら仕事をしているのはなんとも良いものだと思う瞬間もある。そういった意味では、企業内起業と起業・独立は鍛えられる(使う)能力が違うので新規事業を何個過去に企業内で立ち上げても、マーケティングや顧客把握などは強いかも知れないが、この非常に自由度が高く、個人の立場も地位も規定されない「カオス」と無給の中で泳ぐ訓練はしていないので、行き詰まるケースが多々見られる。というか、企業内起業を何個やろうがまったく起業の能力は付いていないと思った方が、後々の自信喪失につながらなくて良いと思う(企業内起業を成功されている方が能力がないという意味で取らないで頂きたい。別の種類の能力も必要。つまり、起業の筋肉は起業しないと鍛えられないという意味です)。起業される理由は様々であろうが、ある程度企業内で自信があるから出てくる方が多いと思うので。この「カオス」の中で頭が白くなるの経験と、転職された方は経験があるかも知れないが、退職の寸前にすごく暇になる時がある。これはかなり辛いものである。それに似ている。忙しいから辛いのではなく、どうしたら良いかわからないと辛いのである。「やることが決まるまでは本当に辛いもんですよね」とは、先輩起業家の言葉である。 もう一つがアイデンティティ。企業に居ると知らず知らずの恩恵が大量にある。会社名、福利厚生、ある程度名の通った企業であれば商談に持ち込むまでは非常に楽である。己が何者か悩む経験は少ない。で?どうやってそれでマネタイズするんですか? 何をやるんですか? あなたは何をやっているんですか? という質問に時に窮することもある。前に働いていたベンチャーで尊敬する起業家が「何をやってるんですか?」「いやー、僕もわからないんですよ〜。教えてください」と冗談交じりに人に応えていたのを聞いていたが、半分は当時はサービスが立ち上がる前だったので本気だったかも知れない。この気持が後で分かるようになってくる。この尊敬する起業家には非常に多くのものをお教えいただいた。別の機会にまとめたい。周りも、一緒にやっている人間も時に不安を投げかけてくる。そんな中で「前向きな」発言を続け、「成功を信じ続ける」能力、つまり、己のアイデンティティとカオスと戦い打ち勝つということはなんともすごいものだと思う。多くの先輩起業家に脱帽である。

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