オープンイノベーションにおける課題に関してのメモ

2019.05.09

大企業はベンチャー企業に本当に上から目線なのか?

大企業はベンチャー企業を上から目線で見ていないか?」の記事にオープンイノベーションに関しての課題がまとめられております。現場の感覚として、オープンイノベーションのプログラムが少なくとも東京ではたくさん走っていることもあり、様々な形で大手企業に対しての啓発が進んでおり「大企業がベンチャー企業を上から目線」という点はかなり改善していると思えるのと、ベンチャー企業自体の構成員に大企業出身者がかなり増えているので(01Boosterのアクセラレーターの応募者では半分ぐらいの比率)この点は今はそこまで問題ではなくなってきたのかな?と思っております。

カタリスト人材の不足

図3の5にあたる連携人材(カタリスト人材)の部分の不足は大きいと思います。会社にもよりますが、一般的にオープイノベーションがうまくいかないのは、大手企業内の問題が殆どと思えます。残念ながら欧米のように、課長や部長が元起業家という大手会社はまだまだ少ないのが現状です。このため、文化の差異を理解する人材は少なく、これはオープンイノベーションプログラムの過程で第3社のフィードバック型の教育で育成していく必要があります。また、このカタリスト人材同士の社内での連携・情報交換も進んでいないケースが多く、社内で部門を超えた社会関係資本(仲間)・エコシステムを創っていくということの重要性を説いていく必要があります。カタリスト人材そのものというよりは、カタリスト人材が社内の既存の文化によってまた元に戻ってしまう方が大きいと思えます。文化が問題なのです。

意思決定のスピードが遅い?

図2の8のスピードですが、ここはなんともいえません。一回決まってしまうと、大手企業もかなり早いので、ときに(しばしば?)ベンチャー側が遅れる場合もあります。

ビジョンと文化

図2の9と10ですね。これは大きいです。そもそも、なんのためにオープンイノベーションをするのか?そもそも何を成し遂げたいのか(VisionやPurposeは何か?)が不明確なケースが多いと思います。これを明確化する必要があるのと、もう一つが、文化的に外部を受け入れづらいという点は、まずは理解者を創り、ネットワーク化して、啓発していくという地道な行為が必要になるかと思えます。社内社会関係資本・会社の壁を超えた事業創造エコシステムの構築です。

良いか悪いかの時代はもう終わった

会社は何度でも甦る ビジネス・エコシステムを循環させた大企業たち」にあるように、世界的にオープンイノベーションは既に必須の世界に入っており(やるかやらないかではなく、どうやるか)、オープンイノベーションが良いか悪いか、必要かどうか?という議論をこれからするよりも、どうやったらもっと効果的なのか?を考える時期に来ていると思います。

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