01Blog / 日本の起業環境の特徴を抑えよう

投稿者:Goda George
2016/02/04 00:00

日本の起業を巡る環境・文化を抑えておくのは重要だと思います。

まず、そもそも、日本人は失敗を恐れる、草食系だという意見に関しては、歴史的に起業が盛んな時期とそうではない時期が繰り返し起こっているという指摘があります。明治維新後に渋沢栄一、森永太一郎を始めとする稀代の起業家を排出し、戦後に至っては本田宗一郎、松下幸之助を始めとするこれも世界を代表する起業家を生んでいます。

厚生労働省の資料を見てみましょう。簡単にいえば1953年の時点では雇用者は42.4%に過ぎません。程度の差こそあれ、57.6%が実に事業家であったのです。まずは、日本人が起業しないというのは近代の話にすぎないといえます。


しかしながら、近年は80%が雇用者、かつ、GEMのデータによると起業活動率(TEA)はラテンアメリカの1カ国に次いで世界ワースト2位となります。ここ数年この状況が続いています。この結果何が興るかというと低いリスクマネーのGDP比です(経産省の資料)。


問題は起業活動率とGDPの伸びが相関(図12-3-2)している事にあります(参考)。起業活動率が低く、それに応じてリスクマネーの供給量も少ない、それがGDPの伸びの鈍化の一原因というのが日本の特徴になります。

鶏が先か卵が先かですが、M&Aも極めて低調です。米国が8割のベンチャーがバイアウトに対して、日本では6割となります。数量的には正確には分かりませんが日本のバイアウトが120件/年ぐらいに対し、米国が400件前後というところです(その1その2)。数的には日本も伸びてきたのでしょうが、金額的に低いのでもう一歩というところでしょうか。

GEDIのチャートで米国(起業に関してのScoreが高いと言われている)や起業国家であるイスラエル、新進気鋭のSingaporeと比較してみましょう。

日本はプロセスや製品のイノベーション、技術や人材に優れています。そんなにリスクを取らないわけでもない。極めて弱いところは「起業のスキル」「機会への意識の低さ」「国際性」無いわけではありませんが「リスクマネー」ですね。後は現在は「起業への文化的抵抗がある」というところでしょうか。

私が様々な方々とお話して思いますのは、スキルも能力も高い方が多い。また、これは日本人の特徴ですがダイバーシティに弱い(人を自分の尺度で理解しようとしてしまう)。コミィニティ型の方が多いので、弱い紐帯に弱い。この結果、そもそもの起業スキルを保有していない人がほとんどの中で、起業もわかるということで企業の方がスタートアップを自分とおなじ感覚で支援したり関わったりするケースが後を絶ちません。

どんなに優秀なビジネスマンでも、今一度、起業のスキルに関してはスタートアップをやっている人間や経験者が圧倒しているという事実を理解し、コミュニティに閉じているが故の機会発掘が難しいこと。そして、文化的に起業への抵抗感があることを考えて行動する必要があると思っております。

知らざるを知らずとなすこれ知るなり(知り得ないことがあると理解すること。それが本当の意味で知ることである) by KOSHI

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Goda George
共同代表 取締役:01Booster Inc.

MBA、理工学修士。東芝の重電系研究所・設計を経て、同社でSwedenの家電大手とのアライアンス、中国やタイなどでのオフショア製造による白物家電の商品企画を実施。村田製作所にて、北米向け技術営業、Motorolaの全世界通信デバイス技術営業を実施、その後、同社の通信分野のコーポレートマーケティングにて全社戦略に携わる。スマートフォン広告のNobot社に参画、同社Marketing Directorとして主に海外展開、イベント、マーケティングを指揮、KDDIグループによるバイアウト後には、M&Aの調整を行い、海外戦略部部長としてKDDIグループ子会社の海外展開計画を策定、2012年3月末にて退社。現在は01Boosterにて事業創造アクセラレータを運用すると共にアジアにおけるグローバルインキュベーションプラットフォーム構築を目指す。

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