【01Blog】失敗とイノベーションの関係とは「オープンイノベーションの現場/4」

2014.05.04

昔、理工の大学院での実験で物質合成をすると、低い条件で(例えば温度が)初めて感覚を見て、今度は少し条件を大きく降って高い条件で、次にその結果を見て、次の条件という手法をよく使いました。低い条件または高い条件で何がしかの傾向を見ると正値を見つけやすい。大学の教授が、「お前ら人間は間違うが、自然は間違わないんだよ!」という話をしていて、何かの結果を出すのに人間側のやることが間違うというわけです。もちろん、低いまたは高い条件は結果は悪い(=失敗)です。三回目も失敗かも知れませんが、要は正値を見つけるために失敗をするプロセスとなります。(ある程度は考えますが)考えてもわからないので、まずは実験しちゃいましょうという感じです。 Googleの秘密研究所で実践される「迅速に失敗するプロセス」という記事を読まれた方も多いでしょう。ここに良い言葉があります。 イノベーションのプロセスは混乱に満ちています。お金もかかるし、何の保証もありません。Google Xとそのリソースをもってしても、同時に進められる「ムーンショットプロジェクト(不可能を可能にするプロジェクト)」の数は知れています。Google Xには「Rapid Evaluation」(迅速な評価)と呼ばれるプロセスがあります。いわば、迅速に失敗するためのプロセスです。アイデアがうまくいかないと早くわかるのは、アイデアがうまくいくとわかるのと同じくらい大切なことです。 前に、成功したベンチャーが実は失敗を大量にしており、そのPDCAサイクル(反省して次の行動を興す)の高速回転により「正値」を見つけることに関して書きました。失敗は極めて重要だと言うことです。 上記は「アメリカ」でかつ「Google」というイノベーションを興すような会社のイノベーションの部門の人間がやはり失敗は認めづらいので仕組みを入れたと述べているのと同じだと思うと、日系企業でこの失敗をするという行為自体がかなり難しいと思われます。もう一つ問題なのは失敗と分かっていても止められないということもありますね。 しかし、冒頭に述べた実験の世界では大量に失敗して正値を見つけるという行為は特に日本でも盛んにやっているはずですね。この失敗とリカバリーが早ければ成功する「Rapid Evaluation」が重要そうですね。 仮に失敗なしにイノベーションがあり得ないとしたら日系企業はどうしていったら良いのでしょか。次回でも考えていこうと思います。

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