【01Blog】成功する社内ビジネスプランコンテスト

2014.10.16

成功する社内ビジネスプランコンテストとは? 社内でビジネスプランコンテストを実施する企業は非常に多いと思います。私自身が社内ビジネスプランコンテストでプレゼンで1位を取り、結局何も動かなかった経験があるので、ものすごいネガティブな印象を持っているのですが色々な会社さんとお話をすると、お?この方法ならいいねー?というものも散見されます。私なりに成功する社内ビジネスプランコンテストというのもがあるとしたらどのようなものかを少しまとめてみようと思います。 大前提として、スタートアップ3.5でまとめた内容を振り返ってみます。イントレプレナーには下記が不可欠ですね。
  • 外部リソースの活用によるオープンイノベーションができる
  • 体系的なイノベーションと、意思決定の簡素化
  • 失敗に寛容
  • カタリストをモチベートする必ずしも金銭的ではないインセンティブ(自立性、熟練度の機会、目的意識など)が必要
01BoosterNYCのTechCrunchから 1. 社外リソースを積極的に使えること 私は前に社会人大学院の起業部でビジネスディスカッション(ゼロイチ分科会)を運営していたことがありました。ここで気づいたのが、圧倒的に人材リソースが足りないということです。Harvard大学院のFIELDに代表されるように実践的な社会人大学院の起業プログラムというものはあります。これはクラスに集まった人でチームアップしてビジネスプランを固めるのですが、実際に起業を行うとなると、これでは圧倒的なリソース不足になると思えます。起業にしろ、興せるのであれば企業内の新規事業にしろ、勝つ必要があり、そのためには良い人材が必要です。社会人大学院という枠に限ってしまうと人材がいなさすぎるのです(これは相当大きな会社でも社内では)。例えば、海外に出るなら海外人材、技術者が居るかも知れないし。新しい分野ならそもそも社内に専門家が居ません。これは、大学院のクラスでチームアップしてワークショップするので、それに慣れていましたから、先に書いたゼロイチ分科会で同じように考えていました。しかし、これが全くの間違いだと実際に行ってみて気づきました。そもそも最も重要な人選びをある限られた範囲、会社内や大学院内で行うというのに無理があるんです。なので、「社外リソースを積極的に活用できる」というのは基本中の基本だと思えます。 あ?あと、絶対に社外リソースを活用する場合、WinWinを考えてください(相手にとっての)。これが一番難しいですね。 2. ジャッジメント ニュアンスが難しいのですが、アイデアでも技術でもそれ自体にはそこまで大きな意味がありません。あくまで実行と人と掛けあわせての話です。アイデア偏重の問題はなんどか取り上げてきました。分かりやすい例がペットボトルの水ですが、これを30年前に人に勧めても誰もそんなもの要らないと言ったでしょう。そもそもものすごい大きなビジネスはその時点で「文化がない」ため、全く取り入れられないんです。アイデアももちろん良し悪しがありますが、このジャッジメントの部分に問題があると思います。一つは、「既存の社内メンバーではジャッジ不能」、もちろん、分野にもよりますが、何故、新しいことを既存の社内の人材がジャッジできるのでしょか? 社外の人間はジャッジに必要でしょう。それよりも、まずは、通す数が決まっている必要があると思います。 新規ビジネスがうまくいくのは1/10程度。よほど酷いもの以外は、プランの批判よりも、より大きなモデルにブラッシュアップすることに注力して、チャレンジさせる方が長い目でとても会社にとって良いと思えるのです。 当たるか当たらないか?ではなく、社員のモチベーション上、極めて重要だと思うのです。私はせっかく1位になったプランがなんの音沙汰も誰が審査したかも分からなければ、そんなことやっても無駄だと思ってしまいました。 アイデアじゃない。モチベーションが極めて重要だと思うのです。 01Boosterサンフランシスコ 3. 実行体制と生活の保障  リスクとリターンは比例すると同時に、リスクを避ければ、リターンは低いということや、起業側としては、気合が足りたい!(=羨ましい)とも言えるんですが、実行に関して、明確に規定されている(撤退基準も含めて)ことが重要だと思えます。もちろん、それなりの予算取りが必要(数千〜億単位)。後は生活の保障ですね。とにかく、子会社なのか、スピンアウトなのか分かりませんが、生活が保障されているし、失敗しても会社に戻れるというのが大きい。 もちろん、リスクとリターンの関係はあります。もう一つは、社内イントレの場合、起業側から見ると、何故、会社のために?という考えが起きます。いくら会社員でもしっかりしたインセンティブ設計が必要です。 要は、客観的に、その会社ではなく、一般の社会から見て、これならやってみようかな?と思うような制度ではないと誰もそんなことやらないです。日本の会社は日本人が真面目なので、日本人の信念に頼りすぎだと思います。金だけではないです。成長の機会なのか、色々個人のインセンティブはあります。少なくとも何がしかのインセンティブ設計は必要で、インセンティブ設計はボディブローのように効いてきます。 4. 失敗することにインセンティブを与える もちろん、安易な失敗はともかくとして、必死さは必要です。なので、全ての失敗に寛容であることは難しいです。それはそうです。しかし、リアルなベンチャー的新規事業立ち上げの人材育成面の効果は爆発的です(私の体感では、会社員一般の10倍)。なので、失敗したら良いポジションに登用すべきです。何故なら、人間は失敗からしか学べないのですから。この貴重な失敗者をいかにモチベートするかはものすごい重要です。会社に恩義も感じるだろうし、まさに、最も重要な人材になります。 そして、失敗しても逆に、その時の努力を認めたとしたら?その他の社員へのアイコン効果たるや凄まじいですよね(もちろん、ちゃんと努力した上の失敗)。俺も私も、とやりたくなる人が出てきます。実例は極めて重要ですね。 僕は思うのですが、成功の話は聞いていて面白いし聞きたいですが、真似が極めて難しい。失敗からの方が学べます。 5. 意思決定の簡素化 企業の一組織としてこのプランコンテストの新規事業を行うのは、至難の業を通り越して、アクロバットですね。なので、うまく行っているところは、子会社なのか、出向なのか、本体と切り離してますね。 要は、そこまでの覚悟を持って、社内ビジネスプランコンテストを行いますか?ということになると思います。 流石、Harvardの論文ですが、スタートアップ4.0の条件を忠実に守ること。これが社内イントレプレナー、そして、失敗者も含む、日本で最も少ないと言われているカタリストを創ることに他ならないのです。 新規事業はまともにワークすれば絶対に大企業の方が有利です。但し、戦うのは、尻に火がついたラーメンをすする、ベンチャーであり、グローバルの狼です。中国企業の凄いところは日本の15倍〜20倍の速度で動くんです。そして、我々はこの国際競争の波から逃れることはできません。

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